2007年11月08日
北蔵王縦走
10月の初め、刈田岳から笹谷峠まで、北蔵王を日帰りで縦走した。
蔵王エコーラインの刈田岳駐車場から登りはじめ、刈田岳からお釜を眺めつつ、熊野岳の非難小屋から右(東側)のコースへ入る。 これは蔵王スキー場を経て温泉に至るコースと反対のコースで、山形県と宮城県の県境の稜線を行く、いわゆる北蔵王縦走路の一部である。
刈田岳から熊野岳に向かう火口湖「お釜」の縁(外輪山の稜線)は「馬の背」と言われ、あたりは荒涼とした岩礫帯。その無国籍的(?)風景をロケハンされて、最近公開された映画『ジャンゴ』(三池崇史監督作品。副題は“スキヤキ・ウエスタン”)の撮影現場になったという。もっとも、映画を観ていないので、その場面が使われているのかどうかは知らない。
追分と呼ばれる蔵王ダムへ下るルートとの分岐点を経て、名号峰から灌木帯を八方平の非難小屋へ向かう。
ここらへんからクマの出没を避けるために鈴を揺らしながら行く。
小屋で小休止。これは宮城県が建てたもの。新しくはないがけっこう立派な小屋だった。
ここからは、急峻な痩せ尾根のアップダウンが続く雁戸山へ向かう。
北蔵王連峰のスカイラインは、山形駅に降り立った旅人が初めに眺める山形の象徴的な風景だ。鮫の歯のように尖がった雁戸山の稜線が印象的である。
ただし、15年ほど前に山形新幹線の開通に合わせて山形駅の駅舎が建替えられ、駅舎出口(=ベディストリアンデッキ上の出口)が駅前通りのラインからずれてしまい、連峰への視界が開けないことになってしまった。
なお、この駅舎出口から駅前通りを経て雁戸山を望むビスタを確保するため、ベディストリアンデッキは山形メトロポリタン・ホテルの方に不自然に出っ張っている。ご存知だったろうか。(拙詩集『母を消す日』のなかの作品「ベディストリアン・デッキのドッペルゲンガー」は、この場所を舞台にして書いたものである。)
雁戸山周辺の「蟻の戸渡り」と名づけられたアップダウンの激しい痩せ尾根を歩いていると、左手下には蔵王ダム、その向こうに山形市内が見え、右手には遠く仙台市内が望まれる。前には延々と連なる山々・・・。いい眺めだ。
しかし、こんな細い尾根を挟んで左と右で世界が異なってしまうのかとため息がでる。
左は「裏日本」で雪に埋もれ、右は「表日本」で晴れ晴れとした世界・・・わかっちゃいるが、なんか不条理だ。
雁戸山を越えると、また灌木帯に入り、カケスガ峰から山形県側のルートに入って、樹林帯をしばらく下る。
やっと山形工業高校の山小屋に着き、笹谷峠の駐車場に下りる。
約8時間半の行程で、実質的には6時間余りの歩き。登山マップでは390分程度の表示になっているから、まずまずのペースだったことになる。
しかし、下りだけは先導者がすごいスピードで行くので、ついていくのが大変だった。
久しぶりの山歩きで、翌日から二三日は腿が痛かった。
その歳でそれだけの体力があることに感謝しなさい・・・そう年上のひとから言われた。
たしかにそのとおりだと思った。・・・感謝。m( _ _ )m