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2010年08月05日

モンテディオ山形 ぶらから観照記 その1









 W杯による中断からJリーグが再開されて以降の、モンテの試合を観戦しながら、感じたことを記す。



 1 ベガルタ仙台戦 〜初めての「J1東北ダービー」〜

 まず、再開後の第1戦は第13節、ホームのNDスタにおける7月17日(土)のベガルタ仙台戦。
 これには、じぶんがチケットを用意して、仙台の友人夫妻を誘った。座席は、メインスタンド南側の、アウェー席に近いホーム席というややビミョーな位置・・・
 電話で友人を観戦に誘ったとき、彼に「やっぱりベガルタのファンなのかな?」と尋ねたら、「べつにそうでもないよ。おまえのところに行くんだから、山形を応援してもいいよ。」と言っていた。 
 友人夫妻は、仙台のクリネックス・スタジアムでの試合はときどき観戦するようで、楽天ファンだということは判っていたが、まぁ、初の「J1東北ダービー」をお互いにしみじみと噛み締めながら観戦して、それから我が家でゆっくり酒でも、と、こうお気楽に考えていたのだった・・・。

 この日は、夕方から雨になる予報だったので、事前に合羽を持参するように念を押していたのだが、案の定、友人夫婦は合羽の用意を忘れたまま山形行きのバスに乗ってしまい、まぁ、コンビニで購入すればいいさくらいに考えていたのだった。・・・コンビニのふにゃふにゃビニール合羽では、3時間近くの本降りに耐えられない。
 どうもそういうことになりそうな気がして、じぶんは、自分の登山用の雨具1式と長男が高校生のときに購入して、結局ほとんど使用しなかった学校指定の合羽1式を準備していたので、それを夫妻に貸し、じぶんはたまたま車に積んでいたウインドブレーカーを着て、下はビニール袋を膝にあてて雨をしのぐことにした。幸い、雨は試合開始直前にあがってくれたが、あのままだと下半身はびしょ濡れになってしまったことだろう・・・

 試合開始前には、両チームのサポーターによる応援合戦が注目を引いた。
 山形対仙台のダービーマッチは、これまでのサポーター同士の因縁もあるらしく、両者がずいぶんと熱を帯びる。
 過去のJ2でのダービーでは、チームカラーである黄色のシャツを着た仙台のサポーターやファンが大挙して来襲し、客席の半分を埋めていたので、仙台サポは、NDスタを「準ホーム」と言っていたそうである。
 この理由としては、仙台〜天童の距離が短いことと、NDスタには広大な無料駐車場が整備されているので、仙台サポにとっては宮城スタジアムよりは格段にアクセスが便利だということもある。
 しかし、この事態の主な理由は、J2時代には、山形と仙台の集客力にそれだけの差があったということだ。なにしろ、山形側には天気予報を見てから観戦を決めるという不熱心な(!?)ファンが相対的に多くいて、観戦を決めたときには、チケットはすでに仙台サポやファンの手にあるということでもあった。
 しかし、このJ1でのダービーは様子が違った。
 1年先にJ1に昇格して、つまりJ1を1シーズン経験して、仙台が上がって来るのを心待ちにしていた山形の人々の観戦意識は、間違いなくレベルアップしていた。
 アウェーの仙台サポは、ゴール裏とメインスタンド南席の南端の一部に限られ、スタジアムの青色(モンテ)と黄色(ベガルタ)との配色は、当然のことながら、青色の優勢となった。
 チケットは販売当日に完売。ほとんど、発売直後に売り切れる「浦和戦状態」だったようだ。じぶんはファンクラブの先行販売の抽選に当選して3枚ゲットしていた。

 試合中の応援合戦も含め、双方のコールを聞いた印象は、「インパクトの仙台」に対して「変化に富み、間断のない山形」という感じ。
 応援コールの一人一人の声の強さ、そして声の集結によるパンチ力は、仙台の方がずっと上である。
 しかし、応援を聴いていて、味があるのは山形である。それに、山形の応援コールは、試合中ほとんど途切れることなく続く。短調を基本とした歌やスキャット(「やまがた念仏」と言われているらしい)、それに選手各人の名前を呼ぶ短い応援コールのバリエーションも豊富。とくにストライカー田代への応援歌のフレーズは耳に残る。
 全般にコールや歌にマイナーなものが多いので、発声するうえで声量を出しにくいのかもしれないが、そのぶん、聴いている方は飽きがこない。

 さて、試合だが、開始間も無く、モンテは秋葉のミドルシュートであっという間に先制してしまった。じぶんも友人夫妻もあっけにとられた。
 しかし、ベガルタはフリーキックですぐに同点に持ち込み、前半はベガルタ優勢で終了。
 友人夫妻の様子といえば、遠慮しがちにではあるが、確実にベガルタに肩入れしているのが伝わってくる。この座席はホームチーム側の観客のエリアだが、レプリカを来たモンテのファンたちに紛れて、じっと声援を我慢している様子の、ベガルタのファンらしき人々もちらほら覗える。
 後半は、モンテが2点奪って、3対1で快勝。
 とくに2点めのゴールは、これがサイド攻撃だという教科書のようなゴールで、モンテのサポやファンにとっては興奮ものだった。もっと飛び上がって大声を発したかったところだが、友人夫妻に配慮して、控えめな態度で喜んだ。こういう場面で喜びを抑えること、しかも友人夫妻とお互いに気を使いながら贔屓のチームに応援しているということが、けっこうストレスになるものだと思い知った次第。(苦笑)
 お互いに贔屓の引き倒しをしながら、丁々発止でやりあって観戦すればよかったのだが、友人夫妻は、そこまではベガルタに詳しくなかった。

 しかし、山形対仙台の「J1東北ダービー」は特別なものである。会場の張り詰めた空気も新鮮だった。今回から「蔵王決戦」と命名されたこの「J1東北ダービー」が、長く続くことを願ってやまない。
 さて、8月13日(金)は、アルビレックス新潟とのダービー(昨年は、これを上杉家にちなんで「天地人ダービー」と呼んでいた)である。左右両方の隣県と「J1ダービー」ができる山形の幸せを味わいたい。













 2 川崎フロンターレ戦

 モンテは、7月24日(土)の第14節、アウェーでセレッソ大阪と対戦し、0対3で完敗。
 第15節は、7月28日(水)ホームのNDスタで、川崎フロンターレを迎撃した。
 対川崎は、昨年度2戦2敗。今年はなんとか勝ち点を取りたいところだった。

 試合は、平日の夜7時開始予定だったが、夕方の雷雨のため、天童市の一部が停電し、じぶんがスタジアムに到着した6時過ぎには、まだ電力供給が止まったままの状態。
 スタジアムを取り囲んで入場を待つ観客の長い列ができていたが、その列に向かって「間もなく入場を開始しますが、停電が復旧する見込みがたっていません。最悪の場合、試合中止もありえることをご理解ください。」と、愕然とするようなアナウンスが・・・。
 このゲームは、NHKのBS1で生中継される予定でもあった。
 東北電力さん、というか工事担当の関連事業者さん、なんとか試合に間に合うよう電力の復旧を〜と願いつつ入場する。すると、願いが通じたか、試合は少しの遅れで開始された。

 このゲームの入場者数は12,000人あまり。
 川崎のサポは200くらいかと思われたので、ほとんどは地元ファン。平日でこの入りはなかなかの成果だ。
 「市町村民デー」(順番に県内市町村を指定し、その住民のバックスタンドへの入場料を半額で販売)の対象を、この日は山形市や天童市に当てて、近隣から仕事帰りの観客を呼び込む方策が奏功したことや、夏休みに入った子どもたちを無料にしてその保護者を誘引したことなどが奏功したものと思われた。じぶんは山形市民なので、この恩恵を受けてバックスタンドを当日料金の半額(1,500円)でゲットした。この動員対策もあって、バックスタンドはほとんど満席。一方、メインスタンドは半分くらい空いていた。

 この日、スタジアムでは、ちょっとだけいつもと違った光景を目にした。
 雷雨と停電の関係で開場が遅れ、雨があがったスタジアム周辺には、各ゲートの開場を待つ地元サポやファンたちの長蛇の列ができていた。このスタジアムで、こんなに長い列を見たことがなかった。
バックスタンドのゲート前の列は、公園の通路の奥まで続いていて、その最後尾に辿り着くまで、列にならんだ人々の表情を観察しながら歩いていった。
 その雰囲気が、いかにも“サッカーの観客”という感じになってきていた。
というのも、昨年までは、どことなく物見遊山という顔つきの地元の観客がいたものであるが、近頃は、なんとなくではあるが、  そういう顔は影を潜め、ちゃんと「モンテの試合を応援にきた」という顔つきの観客が増えているような気がする。
それに、一昨年あたり(J1昇格を争っているあたり)から、ユニフォームのレプリカを着て一人で観戦しているファンが増えてきたように思える。
 その年齢や性別などの属性は多様で、この日は、列で隣に並んでいたレプリカ姿の20代の女性は電話で韓国語を話していたし、客席で隣になったレプリカ姿の男性は、60代後半の白髭だった。
 この“おひとりさま”の観客たちを、それとなく観察していると、彼ら彼女らが、ゴール裏のサポーターのようにはっきりと応援コールをするのではなく、いわば心に秘めながら、その分なにかを思い詰めたようにモンテに視線を送っているのがわかる。



 モンテのサポやファンたちは、ホームで勝利したとき、選手たちがスタジアムを去るまでコールを続け、選手たちがみんな引き上げたところで、「スポーツ県民歌」を合唱する。
 スポーツ県民歌は、「月山の雪、紅染めて、朗らに明けゆく新生日本・・・」と始まる。戦後、まだこの国が若々しさを湛えていたころの歌詞が、古風であるがゆえに、いま、とても新鮮に感じられる。
 (この歌の中に出てくる“スポーツ山形”という部分を“モンテディオ山形”と言い換えて歌う。)
“おひとりさま”には、スポーツ県民歌を歌う者も歌わない者もいるが、彼ら彼女らがこのスタジアムに求めてくるものに、ぼんやりと想いを馳せる。

 ちなみに、じぶんは山形県出身ではないため、みんなが学校で覚える「スポーツ県民歌」を歌えなかったが、連合いに口伝えで教えてもらい、いまは、一番だけは歌える。(苦笑)


 さて、川崎戦の結果は、0対0で引き分け。
 後半はとくに川崎の猛攻を受けるが、モンテの守備の集中力は途切れず、相手に決定的なチャンスを与えなかった。昨年2敗した強豪の相手から、勝ち点1を得たのは進歩である。
 なお、第16節、8月1日(日)に金沢市で行われたガンバ大阪のホームゲームは、1対0で惜敗。川崎戦と同じく、エースの田代を欠いた状態で健闘したが、今期、怪我で出遅れたFW長谷川悠の得点がまだなのが残念だ。
 長谷川は、一昨年のJ1昇格と昨年のJ1残留に大きく貢献した。川崎戦での動きを見ると、試合勘は戻りつつあるようだった。後半戦の活躍、そして点取り屋としての復活を期待したい。

                                                                                                                                                                   

  

Posted by 高 啓(こうひらく) at 01:08Comments(2)サッカー&モンテディオ山形