2023年01月26日

1957年の城南陸橋(山形市)




 高 啓が山形新聞の連載企画「ふるさとを詠う~山形の現代詩~」に寄稿した詩「濃霧論」(2022年12月8日号掲載)を読んだ読者から、手紙をいただきました。差出人は、山形市七日町にお住まいのHさんという方です。
 「濃霧論」は山形駅西口の一画について、そこが再開発される前の記憶を描いたものです。作者のコメントが記載されており、そこに「架け替えられる前の城南陸橋から北西方向、すぐ下に1軒の〝連れ込み宿〟があった。線路の東側から遮断機のない小さな(モグリの?)踏切を渡ってこの安宿にたどり着いた記憶がある。」と書かれていたので、Hさんが昭和32年(1957年)11月の「城南陸橋」の写真の紙コピーを同封して、この一画に関する彼の思い出を書き送ってくれたのでした。
 上の写真は「城南陸橋」から西側を写したもののようです。

 Hさんは昭和32年に17歳の高校生。学校からの帰りに霞城公園南門の付近によくたむろしていたそうです。南門には東側から遮断機のない小さな、あのモグリの踏切を渡って行ったとのこと。
 これに加えて、Hさんが山形大学の学生だった頃、花小路北の居酒屋「安愚楽」によく通って、昨年亡くなった女将の「せっちゃん」にとても世話になったという思い出も記されていました。
 「安愚楽」については、やはり「ふるさとを詠う~山形の現代詩~」に、詩「小路論」を寄稿しています。(2019年2月28日号掲載・この作品は詩集『二十歳できみと出会ったら』に所収。)

 Hさんは、昭和32年に17歳だったとおっしゃるので、今は82歳前後でしょうか。
 高 啓は昭和32年生まれです。
 この写真に写っている女性の髪形、なんと言うのか忘れてしまいましたが、じぶんの母(大正7年生・昭和59年没)もこんな髪型をしていました。
 そしてこのようによく割烹着を着ていました。




 この写真は「城南陸橋」の下から、山形駅方向を写したもののようです。
 線路がこの通りの右を通っているのか、左を通っているのか私にはわかりません。たぶん右かな。

 ついでに「安愚楽」について、忘れないうちにここに記しておきます。
 朝日新聞だったか山形新聞だったか忘れましたが、記者が書いた「せっちゃん」の追悼記事に、「安愚楽」という店の名前は学生たちが口にしていた「アングラ」から付けた、というようなことが書かれていましたが、高 啓は直接「せっちゃん」の口から、「安愚楽をかいて寛いで飲める店にしたかったから」というような話を聞いたことがあります。
 「安愚楽」を「アングラ」と言うようになったのは、高 啓もその一人であった「山大劇研」の学生たちが通うようになってからかもしれません。
 「アンダーグラウンド演劇」にひっかけて、「アングラ」と呼ぶようになったのかも。

 Hさんのご健勝を祈念します。


 



  

Posted by 高 啓(こうひらく) at 11:14Comments(0)作品評

2023年01月20日

「現代詩トークショー」上山市立図書館





 昨年(2022年)の10月22日に上山市立図書館の読書週間のイベント「ポエムの時間 現代詩ってな~に?」に出演したときの動画が、同図書館のサイトにアップされていますので、ご案内します。
 鶴岡市在住の詩人・万里小路譲さん、山形市在住の詩人・いとう柚子さんと高 啓の三人がパネリストで、司会は同館館長の岩井哲さんです。

 高 啓は岩井館長の要望に応じて、詩集『二十歳できみと出会ったら』から表題詩「二十歳できみと出会ったら」を朗読し、この詩の構造と作意について解説しています。
 話題のなかに「R40」という言葉が出てきますが、これは映画などで「R15」とか「R18」とかいう鑑賞者の年齢制限のことを意味しています。
 つまり、詩「二十歳できみと出会ったら」はしげきてきなので40歳未満の方は読まないでくださいという意味です。(もちろんそれは戯言ですが。)

 現代詩トークショー 【市立図書館】 - YouTube
   

Posted by 高 啓(こうひらく) at 11:22Comments(0)活動・足跡

2023年01月04日

2023年になりました・・・





 「明けましておめでとうございます。」と新年の挨拶を申し上げるところですが、昨年からの世情の動きを見ていると、いよいよ日本は奈落への道を歩み出したようで、新年を寿ぐ気持ちがこれほど生じてこない年明けは初めてです。
 しかし、まぁ、筆者はオプティミズムの立場もペシミズムの立場も、まして宮台真司さんのような「加速主義」の立場もとらないので、チマチマと当面じぶんのすべきことをしていくだけです。

 2023年は、昨年に立ち上げた個人出版社「高安書房」から、高啓文学思想論集『切実なる批評』(仮題)を出版する予定です。
 じつは、この論集は昨年中に上梓すべく、これまで高啓の詩集を5冊刊行してきた書肆山田に原稿を送り、出版をご検討いただいていたのでした。
 しかし、昨年の5月に編集・装本を担当されていた大泉史世さんがお亡くなりになられ、文学思想論集の出版計画は宙に浮いたまま時間が経過しました。(大泉史世さんがどのように素晴らしい編集者であられたかについては、毎日新聞2022年7月13日夕刊掲載の池澤夏樹さんによる大泉史世さん追悼の寄稿「ある編集者の仕事」を参照していただきたいと思います。)

 高啓は大泉さんの訃報に接していっとき放心状態となり、それから気を取り直してどこか他の出版社に発行を依頼することも検討しました。
 しかしその一方、文学思想論集と別に、けれども時期的には並行して刊行を考えていたところの職業的自分史『非出世系県庁マンのブルース』が山形県行政の裏面やその組織の人間像を極めて赤裸々に描いたものであるために、これをどこかの出版社から発行した場合、万が一にもその出版社に迷惑がかかることになってはいけない、いっそのことこれを機に自分で出版・販売事業を起してしまえっ・・・と「高安書房」を立ち上げたことから、文学思想論集も高安書房から刊行することにしたものです。
 刊行の計画では文学思想論集が先で、次に職業的自分史という思惑でしたが、以上のような経緯によって、順序が逆になりました。ぜひ、この二冊を併せてお読みいただきたいと思います。

 肝心の詩作の方ですが、2022年は山形新聞の連載企画「ふるさとを詠う―山形の現代詩―」に、「山塊論」(2月3日号)、「デッキ論」(7月7日号)、「濃霧論」(12月8日号)の3作品を発表しました。
 また、山形県詩人会発行の『山形の詩―anthology2022―』(11月1日)に「失語論」を、土曜美術社出版販売発行の詩誌『詩と思想』6月号に「内腔論」を発表しました。2022年は1年間にこの5作品しか詩を書きませんでした。
 2023年は何篇の詩を書けるかわかりませんが、上記の山形新聞の連載企画には5月18日と11月16日の2回(=2篇)は発表するつもりです。

追記:『非出世系県庁マンのブルース』について、内容紹介のため小見出しを記載しましたので高安書房のサイトをご覧ください。

 高安書房のサイトにはこちらからどうぞ。



  

Posted by 高 啓(こうひらく) at 18:31Comments(0)作品情報徒然に