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2010年11月28日

モンテぶらから観照記 その6 残留決定




 結局、今年もモンテは残留争いに巻き込まれた。
 第31節、アウェイで相性のいいジュビロ磐田と対戦するも0対0で引き分け。ここで大宮に追い越されてモンテは14位となった。残りのゲームは、32節がホームで京都と、33節がアウェイで東京と、そして34節の最終戦がホームで鹿島との対戦となっていた。32節で京都に敗れると自力での残留決定はなくなり、33節では残留をかけて東京と闘うことになってしまう。しかも、最終節は強敵の鹿島であることから、32節の京都戦で勝ち点3を取ることがモンテにとっての至上命題だった。
 ここまでのモンテには、11月14日にホームで第30節セレッソ大阪戦、17日にアウェイで天皇杯4回戦の川崎フロンターレ戦、20日に31節のジュビロ磐田戦、そして23日の京都戦と、中二日のきびしい日程が続いていた。

 ところで、11月23日(勤労感謝の日)の京都戦は、寒さが身にしみる季節でありながら、試合開始がなんと19:30。
 次の日が平日であることから、試合終了後の帰宅時間を考えると、子ども連れでの観戦は無理。大人だけでも遠方からの観戦には二の足を踏む。今節は、なぜモンテの試合だけがこんな遅い開始時刻なのか・・・スカパーなどのテレビ中継の都合か?・・と、恨み節も出るが、しかし、この重大なゲームを見過ごすことはできない。“いざ天童!”という気持ちで出かけた。(笑)
 クラブ側もこの節が重要であることを意識し、観客動員の仕掛けをしてはいた。「県民応援デー」として、ビジター席を除き、メインスタンド自由席を含む自由席を前売り1,500円均一で県民に提供したのである。(動員については、後で触れる。)
 一方、サポーター有志は、一部のスポンサーに掛け合い、観客向けにビニールのビブスを配布。レプリカのユニホームやモンテのチームカラーのシャツなどを着ていない観客も含め、観客席をモンテブルーに染めようと取り組んだ。

 ゲームの入り方としては、モンテの選手たちは、疲れの蓄積(?)と、残留を決める上でのこのゲームがきわめて重要であることによる緊張からか、どこか動きが硬いような印象だった。
 京都とモンテが相互に攻め合うが、ボールコントロールなどの個人的技術は、京都の方が勝っているように見える。しかし、京都はボールを奪ったあとの攻め上がりがどうもちぐはぐしていて、モンテがボールを奪い返すシーンが何度もあった。
 前半を0−0で終了。後半6分過ぎ、石川のサイドからのクロスに田代がヘディングを合わせて1点を先取し、モンテはその1点を守って逃げ切った。モンテ・イレブンからは、セレッソ大阪戦の反省を踏まえ、しっかりと守りきる・・・という意識が伝わってきた。
 試合終了と同時に、サポーター席と観客席は残留決定の歓喜に沸いた。
 ・・・ああ、これで来年もJ1のモンテを観ることができる・・・感慨もひとしおである・・・と、単純に喜びたいところなのであるが・・・

 さて、だがしかし、この日の観客動員数は8,582人。これだけの天王山で、1万人を下回っているのは、いかに季節と試合時刻がネックになっているとしても、真剣に考えなければならない課題だろう。
 客席を見回すと、確かにモンテの試合をしっかり観戦している客が増えたように思える。
 じぶんはメインスタンド南の自由席(地元ファンはメインスタンド北から席を取るので、ビジター席に近い南席の観客は、北席に比べるとコアなファンではないような印象)にいる場合が多いが、そこで聞こえてくる会話にそれとなく耳を傾けていると、残留争いでチームがどんな状況に置かれているか、他のチームの今節の勝敗はどうか、今日のスターティング・メンバーはどうか、それは各メンバーのどんな状況を反映したものか・・・などなど、それなりにチェックして観戦している人が増えた感じがする。
 そういう意味では、観客総体として、ゲームを観る目が肥えてきている。しかし、その一方で、昨季と比べて、モンテのファンとそうでない観客の間に、見えない区分線が引かれてきているという漠然とした印象も受けている。
 つまり、相手チームが人気のあるチームなのか(というよりも相手チームにナショナルチームで活躍するスター選手がいるかどうか)や天候がいいかどうかに左右される“薄い”ファンの層との間が乖離してきているという感じである。
 クラブにとって好ましいのは、コアなサポーター層があり、コアな観客(じぶんのようなNSBFなど)がいて、そこから薄い観客までの間がグラデーション状に連続しているという状態ではないか。
 すると、セレッソ戦の7,712人を比較的コアなサポ及びファンと仮定し、“ここが残留できるかどうかの天王山です。ぜひスタジアムで声援を!”と呼びかけて集まったのが、8,525人−7,712人=813人だと考えたとき、このグラデーションの帯域は、かなりやせ細っているということになる。

 今回、京都戦がどんなに重要なゲームであるかについて、クラブが必死になって宣伝したという感じではなかった。昨年、J1に昇格したばかりのモンテのファンたちが、浦和や鹿島とのホームゲームで、相手サポがどれだけ多数押しかけるのか知らないため相手サポにチケットを買い占められそうになったとき、クラブが大慌てで呼びかけて地元観客を動員したことがあったが、そんな場合と、今回のように残留がかかった必死のゲームに地元ファンを動員するのとでは訳が違う。
 残留か、さもなくば降格か、天と地ほどの差がある道行きが決まるギリギリの場面で、そのゲームに立ち会う地元ファンをどれだけ得られるか、クラブ(社団法人)の命運はそこにかかっているのだ。前理事長の海保氏なら、こういうところが広報の全力を傾けるべき勘所だと、チケット料金値引き以外にも動員方策を打ったような気がする。クラブのフロントは、今季の観客動員について謙虚に総括を行い、J1に定着するために何をしなければならないか、あらためて戦略を構築する必要があるだろう。


 さて、33節のFC東京戦は、「ナナ・ビーンズ」(山形市七日町にある元「丸久松坂屋デパート」の建物を転用した複合施設)の8階にある「スポーツプラザ21」に出かけて、じぶんとしては初めて「パブリック・ビューイング」というにやつに参加した。
 この会場は、アルコールを含めて飲食自由なところがとてもいい。マナーを守り、この自由さが失われないように心がけたいものだ。

 ゲームの方はといえば、残留確保に向けて必死に攻めてくる東京に対し、モンテが対等に渡り合ういい試合だった。スカパーTBSチャンネルでの放映だったが、東京サポの大声援に混じって、山形サポのコールもしっかり聴こえていた。
 後半29分過ぎ、東京の平山の振り向きざまのシュートに、モンテのDF西河が反応して足を出したが、これがボールのコースを変化させたため、さすがの清水も防御できずにゴールを許す。これまでのモンテなら、この時間帯に先攻されると追いつけないままズルズルと行くケースが多かったが、得点力不足を乗り越え、最近のセレッソ戦や川崎戦で3点を奪ってきた経験がプラスになって、めげずに速攻を仕掛ける。そして40分過ぎ、宮沢からのクロスに田代が高い位置でヘディングを決め、同点とする。
 モンテは最後まで攻める気力を失わず、試合はこのまま終了してドロー。今季不調とはいえ、タレントのそろった東京から、しかもアウェイでの勝ち点1は小さくない。
 これで残留争いはほぼ東京と神戸に絞られた。最終節で、たとえ仙台が負け、16位の神戸が勝ち点3をあげたとしても、大量得点をしないかぎり得失点差で仙台には及ばない。仙台の残留も決定といっていいだろう。

 次節、すなわち今季最終戦は、12月4日(土)にホームで鹿島を迎え撃つことになる。
 昨年まで3連覇のチャンピオンだった鹿島は、現在3位。自力でACL出場権を獲得するためにはモンテに勝つことが不可欠であるから、本気で襲いかかってくるだろう。
 “小林やまがた”がこれにどう対応するのか、とても楽しみである。



 最後に、京都のサポーター諸君、遠いところお疲れさまでした。
 試合後に挨拶に行った選手たちにどんな言葉をかけていたのか・・・。いつかモンテにもこんな日がやってくるだろう。そんな気持ちでこの写真の風景を眺めていた・・・じつは、昨年もそんな気持ちで、NDスタに駆けつけた大分のサポたちを見ていたのだった。(当時も大分の降格は決定的だった。)
 こんなとき、どんな言葉をかけられるかによってサポの真価が決まる。モンテ・サポも、そしてわれわれNSBFも、つねにそのことを意識しておくべきだろう。

 来年もまたJ1の東北ダービーが観られる。これは幸せなことである。・・・あっは。




  

Posted by 高 啓(こうひらく) at 22:09Comments(0)サッカー&モンテディオ山形

2010年11月21日

モンテぶらから観照記 その5 大宮行



 前回、第28節の浦和レッズ戦まで言及した。今回は、第29節の大宮アルディージャ戦と第30節のセレッソ大阪戦について記す。

 モンテは、第28節のアウェイで、台風の風雨のなかの激戦で浦和に勝利したのに引き続き、11月6日に第29節の大宮戦をこれまたアウェイで迎えた。
 山形から駆けつけやすい大宮ということで、東京への小旅行がてら「NACK5スタジアム大宮」に観戦に出かけた。
 
 大宮駅に降りたつのは初めてだった。
 大宮という土地がどんなところなのか、ほとんど事前に調べないで訪れたのだったが、その街の印象は、事前に思っていたのとは少し違った。
 駅の東口を背にして立つと、左手に小さな店舗がならぶアーケードの小路があって、右手には歓楽街がある。この小路の店々には大宮アルディージャのフラッグが掲げられていた。
 駅前の大通りを少し歩くと右手に高島屋デパート。そして旧市役所(現さいたま市大宮区役所)・・・このあたりで、大宮区役所と反対側、つまり北へ向かって大門町商店街の路地に入る。この路地を進んでいくと間もなく「オレンジロード(一の宮通り)」と名づけられた通りとの交差点に差し掛かる。オレンジロードでは、街灯やプランターが大宮アルディージャのチームカラーであるオレンジ色に塗られている。この通りを歩いていくと、やがて氷川神社の鳥居のある交差点に至るが、その角に大宮アルディージャのオフィシャルショップ「オレンジスクエア」がある。
 大門町商店街からオレンジスクエアまでの区間は、小さな飲食店や商店が立ち並ぶ庶民的な路地で、なかなか風情がある。時間があればもっとゆっくり雰囲気を味わって歩きたいと思った。
 また、駅の右手に入ると、すぐに歓楽街があり、たくさんの飲食店が軒を並べている。もっとも、この歓楽街のメインの通りに面した店はほとんどがチェーン店の居酒屋で、なかなか入りたいと思うような店が見つからない。それで、少し東に向かう路地に入り、区役所の方向に歩くと、地元のローカルな店が並んでいた。

 さて、最初の写真は、氷川神社の参道の鳥居から撮影したもの。この参道の雰囲気はなかなかいい。
 神社、すなわちNACK5スタジアムの方向に歩いていくと、途中に区立図書館があったので、ちょっと入ってみる。古い建物で、閲覧室は狭く、一般貸し出し用の開架図書室には、わずかに椅子があるばかりで机がない。二階には調べ物用の椅子と机のある部屋があるが、蔵書の印象も含めて、旧大宮市の人口規模の割には、やや貧相な図書館だという印象を受けた。
駅の東側を少し歩いただけで言うとすれば、大宮という街は、氷川神社の門前町として栄えた旧い街という印象である。




 「NACK5スタジアム大宮」は、大宮公園の一画に建設されたサッカー専用スタジアムである。野球場にぴったりと隣接しており、かなり狭い土地に無理して建設したという感じで、ちょっと狭苦しい。サッカー専用スタジアムなので、ピッチとの距離が近く、ゲームの迫力が伝わってくる点は魅力だが、なにしろメインスタンドとバックスタンドに奥行きが無く、その分の座席数も少ないためか、メインスタンドとバックスタンドは、前売りでも5,000円と入場料が高い。また、その両サイドの席も3,500円ほどするのだが、座席がピッチに近い分、このサイド席からの視野の角度がきつくなり、隣に客が座っていればピッチ全体はちょっと視にくくなりそうである。
 こんな状況なので、じぶんは、2,000円のビジター席の最上段、大型電光掲示板の近くに席を取った。ビジター席は、ピッチに面した部分は立ち席になっていて、ゴールに手が届きそうな距離。2階以上は個別のシート席だが、このビジター向けの区画は、下から上までモンテのサポでほとんど埋まった。対面するホーム自由席に陣取る大宮サポの数にひけをとらないほどのモンテ・サポやモンテ・ファンが駆けつけていたのである。

 試合開始前には、大宮アルディージャの新社長がピッチに出て、例の入場者数水増しのお詫びの挨拶を行い、その後、四方の観客席の前を頭を下げて回った。人のいいモンテ・サポは、これに拍手で応えていた。
 この日の入場者数は8,457人。この時点では、大宮はモンテより下位で降格争いに巻き込まれていたので、残留争いを脱出するためには同じく下位のモンテに是が非でも勝利したかったはずである。そういう大切な試合なのに、モンテ・サポが2,000人以上押しかけたことを考えれば、地元ファンの入り具合はとうてい褒められたものではない。そういえば、山形に遠征してくる大宮サポはとても少ない。監督を鈴木淳(J2時代の元モンテ監督)に替え、FWにラファエルを起用して波に乗ってきた大宮とはいえ、もう少し地元のサポート体制を強化する必要があるだろう。

 試合のほうは、前半はモンテが押し気味に試合を進めていたのに、前半終了間際に一瞬の隙を突かれ、ラファエルにゴールを決められた。少ないチャンスをしっかり決めるラファエルの動きには感心してしまった。(苦笑)
 後半は、モンテの石川達也がフリーキックを直接ゴールに蹴り込んだ。これはモンテのビジター席に向かってくる目の覚めるようなシュートで、決まった瞬間、ビジター席はたいへんな興奮に包まれた。これがあるからモンテの観戦はやめられない・・・。
しかし、同点にして、これからという時、モンテに守備の乱れが生じ、またも少ない機会を捉えられて、交代で出場したばかりの石原に得点を奪われる。大宮の選手は、1点リードすると見違えるように動きが活発になった。モンテは、再びリードを許してからは最後までペースをつかめず、そのまま1−2で敗北。大勢詰め掛けたモンテのサポたちは、ゲームの終了後、いつものように選手たちに温かいエールを送りつつも、皆どっと疲れが出たとでもいうように肩を落としてスタジアムを後にしていた。
 ・・・鈴木淳は、やはり、恐るべし、である。




 さて、こんな悔しい負け試合のあとの第30節のホームゲームは、今季J1復帰で上位に駆け上がっているセレッソ大阪戦であった。このゲームもまた、とても悔しい結果に終わった。
 前半、滑り出しの良かったモンテが、北村の速攻で1点先取したものの、セレッソのコーナーキックからヘディングで同点を献上し、そのまま後半へ。
 後半では、信じられないことに、これまた速攻で長谷川悠の技ありゴールが決まる。長谷川はこれがリーグ戦での今季初ゴール。スタンドは大いに沸くが、セレッソはこの長谷川のプレーがハンドの反則であると抗議して、ゲームが中断する一幕もあった。
 この後、モンテはさらに田代のゴールで、なんと3-1と、強豪のセレッソ相手に、勝利の期待を濃厚に抱かせる“意外な”展開になり、スタンドは興奮に包まれた。
 しかし、長谷川を下げてキム・ビョンスクを出したあたりからセレッソに波状攻撃を許し、90分とロスタイムの3分に得点を奪われ、まさかの引き分けに持ち込まれてしまった。
 モンテが守備の意識で一枚岩になりきれていなかったことと、本気になったセレッソの激しいプレッシャーに、時間稼ぎのボール回しが上手くできず、相手陣地に向けてロングボールを蹴るだけの単調な守備に陥ってしまったことが悔やまれる。
 まぁ、3点を取ってリードしたと言っても、この試合では、前半からロングボールを出しての速攻というワンパターンの攻撃しかさせてもらえなかった。この相手に引き分けたということは、むしろ評価すべきことなのかもしれない・・・長谷川も得点できたことだし・・・ああ、だがため息が漏れる・・・どこまでファンをハラハラさせるチームなんだ・・・あっは。




 モンテは、この後、11月17日の天皇杯4回戦で、リーグ戦では今季1分け1敗の川崎とアウェイで対戦。延長戦の末、PK合戦を制して、なんとなんと川崎に初勝利をあげた。
 そして昨日の第31節では、アウェイでジュビロ磐田と対戦。モンテにとって磐田は相性のいい相手なのだが、磐田はナビスコカップの優勝など、このところ調子を上げてきていたのでどうなるか心配していたが、やはり0−0で引き分け。大宮が勝利したことで、モンテは順位を14位に落とした。(勝ち点37で大宮、仙台、山形が同点だが、山形が得失点差で14位。)
 残りはあと3試合。23日のホームでの京都戦。27日のアウェイでの東京戦。そして最終戦はホームで鹿島を迎え撃つことになる。
 最終局面で残留争いに巻き込まれたモンテ。次節の京都戦にはなんとしても勝利しなければならないところに追い込まれている。

 ところで、セレッソ戦は日曜日の夕方からだったことや、セレッソが山形では人気のないチームだったこと、セレッソにいわゆるスター選手がいないこと、そのうえ寒さも手伝って観客動員は7,712人に留まった。J1で2年目の今季、コアな観客は8,000人程度だと読んでいたじぶんの予想が、意に反してほぼ当たる格好になってしまった。・・・モンテの年間観客動員数は、J1に昇格した感動があった昨季より落ちているのではないか・・・。
 モンテの残留を願う県民がどれだけいるのか、寒さの増す11月の末、それも19時30分キックオフという環境で、そのことが試されることになるだろう。「県民応援デー」として前売りを1,500円にしたのは当然の選択だった。ここがモンテ残留の天王山であり、残留を願う県民の真価が試される時でもあるだろう。


※ 写真の3枚目は、セレッソ戦開始前のNDソフトスタジアム。稲藁を焼いたような煙と臭いがスタジアムを包んでいる。・・・これが山形らしさ?
  4枚目はセレッソのサポーター席。遠いところご苦労さまでした。
                                                                                                                                                                                                      

  

Posted by 高 啓(こうひらく) at 22:57Comments(0)サッカー&モンテディオ山形

2010年11月03日

モンテディオ山形 ぶらから観照記 その4



 さて、10月16日の第26節の川崎フロンターレとのアウェイ・ゲームに0−2で敗北した次のゲームは、10月23日の第27節、これまた勝利したことのない相手、というか、過去3戦3敗の相手、清水エスパルスとのホームゲームだった。

 1枚目の写真は、試合開始前のサポーター席。後景の山にそろりそろりと紅葉がやってきている。それを弱々しい秋の夕日が照らしている。こんな環境でJ1のホームゲームを観戦できる幸いを噛みしめてしまう・・・。

 この試合、モンテは、田代と長谷川の2トップに、下村と増田をダブルボランチとして臨む。
 前半の20分ほどは優勢に試合を進め、清水ゴールを脅かした。この間、清水の動きはまだ緩慢で、まるで“寝ている”かのようだった。しかし、モンテは、この攻撃の波にのった時間帯に得点できなかったため、例によって、前半の25分過ぎから相手に押し込まれる危ない時間帯に入る。
 如何にも点を取られそうな感じがしてきた31分過ぎ、案の定、息切れしたディフェンスの乱れを衝かれて1点を献上・・・。そのまま前半を終了した。負け試合では、毎度この時間帯で点を奪われている。なんだか、ほんとに点を奪われるのが読めるようになってきてしまった・・・一方、得点時については、昨季までは嵩にかかって攻め立て上がっているときはなんとなく得点できる匂いがしてきて、まさにそこで実際に得点が入っていたのに、今季はまったくその“匂い”のする時間がないような気がする。ようするに、流れに乗った形で得点することができていないのだ。




 得点力の脆弱なモンテは、格上の相手から先取点を奪われるとそのままズルズルいく試合が多いが、それでもサポやファンは、先日のガンバ大阪に逆転勝ちした試合を思い出して、期待しつつ後半を迎える。
 しかし、1点先取して余裕の出た清水に対し、後半のモンテにはさっぱりいいところがなく、相手をフリーにして15分に2点目を献上・・・その後、相手に反則退場者が出て数的優位に立ったが、北村と下村を下げ、ハン・ドンウォンと宮本を一緒に投入して前がかりになったところに相手のカウンター攻撃を食って、結果は、0−3で完敗。
 まあ、ヨンセンにいい仕事をさせなかった点だけは評価できるが、やはり、攻撃と守備の両方で、清水との集中力の差が出たといわざるを得ない。(外国人選手が活躍していないモンテ側からみれば、清水のヨンセンや名古屋のケネディなどの大型選手は、出場しているだけで“反則!”みたいなものであるからして。)





 このゲームの入場者は12,543人。清水からも少なからずサポが駆けつけた。
 清水の応援は、さすがにこなれている。全体がラテン調のリズムで、声を集中して出せるように、ことば数が少なくコールにメリハリがあり、少ない人間でもパンチ力のある応援ができる。モンテの応援は“念仏系”なので、「念仏」対「サンバ」という感じだった。


  清水戦は、湘南相手には効果的だった田代と長谷川の2トップが、強豪相手には効果的ではないということを再確認したような試合だった。
  あまりに見事な負けっぷりで、川崎戦に続いて2連敗は痛いが、まぁこんなもんだろうと、サポもファンも悟りを開いているような感じ・・・(苦笑)
  この日の負け、つまり対清水の負けは織り込み済み・・・。でも、じゃあ、残り試合にいつ勝つんだ?・・・ええと〜、アウェーでの大宮とホームでの京都に勝って、あと勝ち点6を積んでなんとか残留する・・・これがみんなの(?)描いているシナリオだ。なにしろこのほかに残りのホームゲームはセレッソ大阪と鹿島アントラーズが相手なんだから・・・あっは。
  いや〜、やっぱりこういう負け試合が多いから、ガンバ大阪に逆転点勝ちしたときのように、たまに格上を破ったときの感動がひとしおなんだわ・・・そんなことを自分に言い聞かせてスタジアムを後にした。

 ところがどっこい、次の27節10月30日のアウェイの浦和レッズ戦では、台風による風雨の中、モンテは浦和に1−0で勝利してくれた。
 この日、じぶんとしては今季初めてのアウェイ観戦に乗り込もうと考えていたのだが、生憎仕事の用が入ってしまい、やむなくNHK・BSでテレビ観戦することに。
  この試合は、ガンバ大阪戦に続いて小林監督の采配が当たった試合だった。
  前半開始から20分が浦和の得点が多い時間帯だということを考慮し、長谷川1トップに佐藤健太郎をアンカーとして、4−3−3の守備的な体制でゲームに入る。
  前半の前の半分は観ることができなかったが、後の半分を見たところでは、FWの長谷川からなかなかいい守備が出来ているようだった。攻めてくる相手を抑え、前半を失点なく乗り越えればモンテにもチャンスが来る。まさに読みどおりだった。
  浦和は、その個人技の高さに加え、モンテの中盤のミスもあって、終始優勢に試合を進める。しかし、モンテ守備陣の最終ラインの集中力やGK清水の好セーブによって、チャンスを活かすことができない。浦和の攻めは、組織的な崩しを波状的に仕掛けてくるというのではなく、エジミウソンらの個人技に頼ったものだったという印象がある。
  
  モンテは、後半36分、石井のフリーキックに長谷川と交代した田代がヘッドを合わせて、数少ないチャンスをものにし、それをいつもながらの守備で守りきった。テレビ画面で見る限り、田代のヘッドがボールに触れているのかどうか怪しく思えたが、それでもあそこにああいうふうに田代が突っ込まないと生まれなかったゴールだろう。
  長谷川に、出場時間を限ることで前線からの守備と攻撃の両方をがんばらせて、失点を防ぎつつそこそこ攻撃も組み立て、長谷川が疲れた後半の中ごろに田代を出して攻撃的に臨むという小林監督の作戦が当たった瞬間だった。

  長谷川の1トップでも田代の1トップでも、モンテの流れからの攻めは比較的単調で、相手に読まれている。こぼれ球を狙う2列目の駆け上がりや、中央への早い縦パスをシュートにつなげる連携(モンテの選手の技量では、じぶんで縦パスをもらってそのままシュートを決めるのはなかなか難しいので、縦パスを受けた者が、ゴールに向かっている別の者にワンタッチでパスすることが必要)が大切なように思える。

  しかし、自力で残留を掴み取るために、とにかくこのアウェイでの勝利は大きかった。
  台風の中を浦和に駆けつけたモンテ・サポの熱意にも拍手。テレビでは、モンテ・サポの応援の声もちゃんと拾われていた。来季、また大勢の浦和サポを天童に迎えることができそうなのは大きな喜びである。

  次節は、引き続きアウェイで大宮アルディージャ戦。これにはじぶんも参上つかまつる。
  昨年と同様に残留争いに巻き込まれている大宮の残り試合の対戦相手を見ると、ホームで勝てそうな相手は、モンテと神戸くらいだと思える。そういう意味では、大宮は対モンテ戦に残留をかけて全力で立ち向かってくることだろう。小林監督がこれにどう臨むのか、楽しみである。

                                                                                                                                                              

Posted by 高 啓(こうひらく) at 12:52Comments(0)サッカー&モンテディオ山形