2007年08月07日

It`s Secret 「恐竜外伝〜けれど、笑っていた〜」



 山形へ帰る途中、宇都宮により、劇団 It`s Secret の公演「恐竜外伝〜けれど、笑っていた〜」を観た。(栃木県総合文化センター サブ・ホール)

 この劇団は、社会人によるいわゆる市民劇団なのだが、その活動が精力的なのには驚く。
 専用の小屋(Aterier Jam)を持ち、しかも今年は4回の公演(恐竜外伝は今年の3公演目)を打つというのである。
 話に聞くと、公演の後片付けの一週間後には次回公演の打ち合わせが始まるというのだ。

 今回の芝居は、ある夫婦が恐竜を産むという奇想天外な設定から、自分が産んだ恐竜を息子だと信じて疑わない母の想い、自分と恐竜である子を捨てた夫を思い続ける妻の心を中心に、様々な登場人物たちがそれぞれの片思いの相手を想い、献身するという、いわば愛の物語。
 
 映像を使っているのだが、恐竜の姿を最後まで客の前に出さなかったのはよかった。
 大道具や舞台の使い方もうまいし、照明に舞台効果もよかった。ただ、音響効果はセリフにかぶさる選曲がちょっと気になったし、会場が音を反射する構造なので、ただでさえセリフが聞き取りにくいのに、音響が重なってますます聞き取りにくかった。

 演技の方は、いつもの小屋の公演より展開ややり取りがやや間延びする部分があった。
 会場で十分な稽古ができなかったからではあるだろうが、そこを勘定にいれて、もともとすっきりした構造にしておく必要があったろう。
 演技に関しては「栃木県の演劇情報」というサイトを主宰しているミリアム氏のいうとおり、この劇団は、アマチュアとしては、ある意味行くところまで行っている。
 これをどうブレイク・スルーするか、が課題だと、私も想う。



  

Posted by 高 啓(こうひらく) at 12:15Comments(0)劇評

2007年08月07日

オディロン・ルドン展へ行く


 お盆は休みを取れないので、一足先に夏休みを取って上京した。
 
 丸の内のオアゾの「つばめキッチン」でハンブルグ・ステーキを食べて、 渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「ルドンの黒」展を観た。

 ルドンの作品は、期待したほど面白くはなかった。昨年のエッシャー展の印象が鮮明だったから、期待はずれという思いがやや増幅されたのかもしれない。
 ルドン自身が手放さなかったという油彩の風景画の方が、よかったりして。
 ただ、彼が活躍した時代が印象派と同じ時代だということを知って、へぇ〜と思った。
 今の感覚で観るからたいして面白く感じないので、当時としてはかなり斬新あるいは異端的だったのだろうとは思える。

 作品展について言うと、解説文にやや違和感を覚えた。誰だか知らないが、解説者の時代観が一方的かつ断片的に語られ、それが作品解釈を決め付けている。
 作者や作品の解釈が匿名(・・・ライターの名が表示されていたのに私が気付かなかったのかも)で、その解釈の思想的根拠というかパースペクティヴも示されずに放出されている。美術界って、こんなのが許される世界なんだ・・・とやや辟易。
 と言っても、もちろん、あたりさわりのない解説を是としているわけではない。


  

Posted by 高 啓(こうひらく) at 12:02Comments(0)美術展