2009年07月01日

モンテディオ山形vs川崎フロンターレ

モンテディオ山形vs川崎フロンターレ

 6月28日の午後、炎天下の天童市「べにばなスポーツパーク」のNDソフトスタジアムで、J1リーグ戦第15節、モンテディオ山形vsフロンターレ川崎の試合を観戦。

 モンテは、リーグ戦スタート時点の躍進が影を潜め、このところ負けが込んでいる。第11節のホームゲーム、対アルビレックス新潟戦も観戦したが、このときも0対1で敗北・・・6月20日の第14節のアウェーで清水エスパルス戦にも破れ、下から4位と、いまや降格争いに“参戦”する事態になっている。
 川崎は上位の強豪チーム・・・これは大敗を喫することのないよう応援せずんばなるまい・・・と、西向きのバックスタンド席で真夏日の日差しに肌をジリジリ焼かれながら観戦したというわけである。

 川崎は、モンテをなめたのか、6月24日開催のAFCチャンピオンズリーグの疲れを回復させようとしたのか、司令塔・中村憲剛と主力FWの鄭大世ら、ナショナルチーム・クラスを温存。
 前半、それでも、さすがに川崎の攻めはスピードがあった。ミドルシュートを何本も撃たれ、いつもながら、モンテの守護神・清水は一時も気を抜けない時間が続く。こちらも、いつもながら、心臓に悪い時間が続く。
 しかし、清水の好守と運に助けられながら、モンテは集中力を切らすことなく前半を凌ぎ切った。

 前半が終わると、スタジアムの男性アナウンサーが「試合はモンテのペースで進んでいますね」と言い、女性アナウンサーが「でも、かなり川崎に押されています」と答えると、男性は「これがモンテのペースなんです」と語った。
 じぶんは、“たしかにそのとおり”と思いつつ、今日は強豪に一泡吹かしてやってくれ・・・と期待して後半を迎えた。

 後半が始まると、期待通り、モンテはややスピードの落ちた川崎に対して攻勢に転ずる。
 得意のサイド攻撃やセットプレーから、連続攻撃を展開して、何度か決定的なチャンスを生み出す。
 だが、川崎のキーパーに好守され、得点できない。
 やや優勢のまま、後半も40分を過ぎると、降格を免れるという命題のためには、とにかくこのままで「勝ち点1」を得ることが大事だ・・・と、“負けないこと”を心の中で祈っていた。

 そんなとき、あ、なんとなくちょっと嫌な雰囲気だな・・・という気がした。モンテの猛攻が一服し、いつもの悪いクセで、ふと弛緩したそのときだった。
 モンテ陣内でモンテのDFがボールを拾い、それを中盤の味方にパスしたところを、狙いすまして裏から走りこんだ川崎のサイドの選手にカットされ、そのままカウンター・・・後半の途中から出場していた鄭大世への絶妙なパスを出されて、あっという間にゴールを奪われた・・・。

 まさに、拮抗した試合で敗北する場合の典型を見せられたような失点。
 これがモンテの悪いクセ・・・スピード感のある展開が一服したとき、後衛からパスをまわす際に、ふっと気が抜けたようになる瞬間がある。
 先にこのブログに記したFC東京とのアウェー戦でも、拮抗したゲームなのに、この弛緩した瞬間に失点して苦杯を舐めた。

 しかしながら、川崎の要、中村憲剛やヴィトール・ジュニオールが出場しなかったということはあるだろうが、それでもモンテは善戦したと言えるだろう。
 個人対個人では、明らかにテクニックもスピードも川崎が上。
 けれど、モンテは、サイド突破から“得点の匂いのする時間帯”というべきものを作り出した。ほとんどの試合で、相手の連続攻撃にはらはらさせられる時間の方が長いのだが、この得点の“匂い”のする時間のモンテには、その分だけ反転攻勢のわくわく感を感じさせられる。これが、去年から今年にかけてのモンテディオ山形の魅力だと思える。
 もちろん、観客は、このわくわく感が“ゴール!”へと繋がったときの興奮・・・そのエクスタシ一を求めてスタジアムに足を運ぶのであるが。


モンテディオ山形vs川崎フロンターレ
 5月の新潟戦は、隣県のチームとの“天地人ダービー”とあって、17,171人の入場者があったが、この日は10,367人と、やや少なめ。うち、川崎サポーターは1,200〜1,300といったこところか・・・。すると、9,000人程度がJ1における地元の観客動員力ということだろう。
 しかし、それでもやはりJ1に昇格して、会場の雰囲気はなかなかよくなってきている。ユニフォームのレプリカを着ているファンが増えたし、「炎のカリーパン」を初めとして、売店の賑わいもあり、スタジアムに行く楽しみが増えたような気がする。・・・これは、幸いなことである。
(なお、じぶんは“サポーターにはならない”という姿勢のため、レプリカを着る気はない。ただし、アウェー戦を観戦に行くときだけは、モンテのタオルを身に付けて行こうか・・・などと、不覚にも・・・思うようになっている。)

 さて、サポーターたちが陣取るサイトは別として、相変わらず山形のファンは静かである。
 もう少し愉しみながら観戦してもいいと思うが、観客席では無駄口を叩いたり野次を飛ばしたりする者が少ないので、ヘラヘラしゃべりながら観戦するのが好きなじぶんも、口を噤みがちになる。・・・J2の頃は、モンテのファンから、モンテの選手に叱咤激励の野次も飛んでいたので、なかなか面白かったのだが。

 もっとも、この3、4年、観客席で周りを見まわすと、1人で観戦にきて、なにか思いつめたように見つめている若者がけっこう目につく。・・・おいおいおい、あんまり自己移入するなよ・・・などと心の中で呼びかけている。

 ところで、7月4日の対浦和レッズ戦のチケットは、発売開始後10分で売り切れたという。
 山形のファンは、「天気予報を見てから前売りを買う」という習性がまだ抜けていないから、一般の前売りをゲットしたのは、その多くが浦和のサポーターだろう。

 久方ぶりに天童で浦和レッズを目にするのを楽しみにしていたが、関東から大勢のお客さんが来てくれるとあらば、われらは地元FM局の実況中継でも聴くことにしよう・・・それもまた、幸せなことである・・・あっは。                                                                                                                                                                                                                                                         








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Posted by 高 啓(こうひらく) at 00:57│Comments(0)スポーツ
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