2010年10月19日
モンテディオ山形 ぶらから観照記 その3
さて、前回の記事で今回に繰越ししていた10月2日(土)第25節のガンバ大阪戦(ホーム)の感想と、10月9日(土)の天皇杯3回戦の湘南戦の感想を記しておく。
ガンバ戦の入場者は12,018人。この入場者数については前回も触れたが、昨年より4,000人ほど少ない。その一因としては、やはり、この試合の前までのモンテの戦績の低迷が、“強豪ガンバに負かされるモンテはみたくない”という観客心理があったのではないかと思われる。しかし、ここで、モンテは今まで勝利したことのなかったガンバに2−1と、鮮やかな逆転勝ちを収めた。
このゲームは、久々に“観に来てよかった!”と思える内容だった。
まず前半は、試合開始直後から、ボール・コントロールでモンテはガンバに負けていなかった。
中盤でも積極的にプレッシャーをかけ、互角以上にボールの奪い合いを演じた。去年の、ミス続発で、ロングボールや味方のスローインをまったく支配できない姿が信じられないほど進歩した姿を見せてくれた。
FWの田代を温存して長谷川を入れ、積極的かつ正直(!?)に攻撃しながら守備を固める布陣は当たった。前半を0−0で折り返すのはモンテのペースである。
後半、モンテはゴール前のミスからガンバにボールを奪われる。遠藤からため息のでるような鮮やかなパスが通り、あっという間に平井に押し込まれて先制点を献上してしまう。
しかし、モンテは、ここからが今までと違っていた。気持ちが揺るがず、締まった攻撃を展開する。失点から数分で、数をかけて相手のゴールに迫り、左サイドからのボールにいちばん右にいたMF下村東美が上手く合わせて同点。失点してから間もなく同点に追いついたことが大きかった。
試合が進むにつれて、じりじりと地力に優るガンバが優勢になる。やはり体力的にはガンバに分があるように見える。
だが、ここから、途中で宮崎光平を投入した小林采配がぴたりと当たる。長谷川をトップにおいてサイドからボールを集めるという、ある意味不器用で馬鹿正直な攻撃法の、ほんとうの効果が現れたということもできる。
小柄で走り回る宮崎の投入で、モンテのギアがチェンジする。宮崎の素早い反応による速攻と、その頭脳的なループシュートが決まり、モンテが1点リード。後半の最後3分の1くらいはガンバの猛攻を只管しのぎ、ついに歓喜の対ガンバ大阪“初勝利”を遂げた。(ロスタイムの3分が、なんと長かったことか・・・)
さて、感激のガンバ戦勝利から1週間後の10月9日(土)は、天皇杯3回戦。2週間前にリーグ戦で引き分けていた湘南が相手だった。
天皇杯2回戦では、モンテはJFLの秋田ブラウブリッツとホームで対戦。点差こそ3−0で勝利したものの、試合内容は散々で、やっとのことで勝ったと言われていた。なにしろ、昨年の天皇杯では、J1で初めて大学チーム(明治大学)に敗北し、歴史に名を残して(!)いたほどである。ハーフタイム中に電光掲示板で上映された天皇杯の歴史を描いたショートフィルムにも、デカデカと取り上げられていた。(なにもこれを山形のホームで上映しなくてもいいじゃねぇか!と思ったが。)
こうした過去があるし、つい先日のJリーグ第24節の湘南戦も、やっとのことで引き分けという結果だったものだから、“天皇杯はどうもなぁ・・・”という想いはあったが、リーグ戦と異なり、天皇杯はなんとなくリラックスして観戦できるような気がして、雨がぽつりぽつりと落ちるなかを、“ひょいっ”と出かけてしまった。まぁ、特別席を除き、入場料が当日でも2,000円だったのが入りやすい理由でもあったが。
この日の入場者は3,249人。湘南のサポは40〜50人くらいか。モンテのサポもずいぶん少なく、ゴール裏の席の4割も埋まっていないような感じ。
気づくと、この3,249人という数字は、J2で、J1昇格争いに絡めないでいたころの観客動員数にちかい。
メイン南に陣取り、まわりを見回すと、一人できている地元のファンが多い。年齢層はバラバラで、中高年の“お一人さま”も目に付く。むしろ20代前半といった若者の客が相対的に少ない。そのためか、試合開始前のスタンドの雰囲気はどことなくまったりしている。ヤジでも飛ばしながら高校野球を観戦するような気分である。
この雰囲気、つまり“J1昇格争いをしていない時期のJ2モンテ”の雰囲気が、懐かしいと思うことがある。J1に昇格してからは、なにしろ降格しないことを祈りながら観戦することが多く、どきどきハラハラするばかりだが、昔はこうしてリラックスしながら楽しんだものだ。とはいえ、もちろんあの頃には決して戻りたくないが・・・。
ところが、モンテのゲーム内容の方は、先日のガンバ戦勝利の勢いを維持した、なかなか緊張感のあるものだった。
この日はスタートから、田代と長谷川のツートップ。小林監督は、攻撃力の再構築に向けてこの二人を中心とした連携プレーをじっくり練習してきたようだったが、その成果が早くも現れた。
前半はモンテが積極的なプレスで湘南を圧倒。そしてサイドから長谷川が持ち込んで先制ゴール。待ちに待った長谷川悠の今季初ゴールを目にして、スタンドは歓喜爆発!・・・じぶんも感激しつつ、ほっとした気分になった。
昨年のシーズンが終わりに近づいた頃、モンテのJ1昇格と(サッカー関係者のほとんどが最下位で降格するとみなしていた)モンテの1年目の残留に多大の貢献をしていた長谷川は怪我で戦線離脱したのだったが、その時期じぶんは、試合直後にスタジアムからびっこを引きながら出て行く私服姿の悲痛な長谷川の姿を眼にしていたので、この復活ゴールは格別なものだった。
そしてその2分後、モンテは相手ゴールに圧力をかけ、浮かせたボールを田代が鮮やかにオーバーヘッドのシュートで2点目を奪取する。
後半は、速攻でMF増田誓志からMF宮崎光平にパスがつながり、モンテが3点目を奪取。その後、それまでアグレッシブな動きを見せてきたモンテが息切れした時間帯に、湘南の波状攻撃で一瞬守備ラインが混乱して、そこをきれいに衝かれて失点してしまう。残念な失点だったが、この後は2点差を守ってモンテが逃げ切った。
この日は、また小林采配が当たった。小林監督の流石なところは、同じ相手に同じ失敗を繰りかえさないように、しっかり修正してくるところだと言われる。まさに、その結果が現れたこの2試合だった。
今季モンテは、ナビスコカップを含めると湘南と4度対戦し、2勝2分。
湘南のサポーターは少数だったが、その気持ちが入った応援は印象的だった。
昔の平塚がどんなクラブだったか知らないが、今の湘南は、そのクラブ運営の面で地方のプロビンチアが学ぶべきものをもつクラブだと言われる。東日本勢たる湘南にも残留してほしいが、モンテの残留が切実で、さらには仙台にも残留してほしいじぶんとしては、偽善的に他のクラブを応援するような言を垂れることはしない。
湘南といえば「海」、海といえば「森田健作」(!?)、森田健作といえば「さらば涙と言おう」・・・ということで、「さらば、湘南!」・・・・(苦笑)
ところで、Jリーグ第24節の湘南戦は、入場者が7,782人と少なかった。
残り試合の対戦相手から考えると、ここで勝たないとモンテのJ1残留に黄色信号が点る大事な試合だった。幸いにも第25節のガンバ戦で殊勲を挙げたからよかったものの、サポもファンも、ここのところが頑張りどころだったのである。
クラブもこの試合の大切さをもっとPRすべきだったろう。これは、地元のサポやファンたちの“守備の乱れ”であったということもできるし、モンテのコアな観客は、未だに、せいぜい8,000人弱というレベルだということを示しているとも言えるだろう。
・・・と、ここまで書き、暢気に途中で筆を休めていたら、10月16日の第26節・等々力陸上競技場での川崎フロンターレとのアウェイ・ゲームでは、ヴィトール・ジュニオールと中村憲剛の二人に鮮やかなミドルシュートを決められ、0−2で敗北してしまった。やはり上位の相手には得点力が及ばない。次節の清水エスパルスとのホームゲームでは、この部分を修正して望んでほしいものだ。
また、11月17日には、やはり等々力で、川崎と天皇杯4回戦を戦うことになった。同じ相手に同じ失敗を二度しないという小林監督の采配を期待したい。
おまけ。
NDスタの電光掲示板・・・・なんか顔のように見える・・・(^^)
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Posted by 高 啓(こうひらく) at 01:18│Comments(0)
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