2011年08月09日

2011 モンテ観照記「モンテますます危うし」



 モンテディオ山形が勝ち点を伸ばせないで苦しんでいる。
 第20節の鹿島戦に敗れたところで、勝ち点12で降格圏の17位。 
 このブログはモンテの話題からちょっと離れていたが、ゲームの観戦をサボっていたわけではない。
 7月2日(土)に新潟市のビッグスワン・スタジアムで開催された第2節の新潟戦まで遡って、モンテについて述べておきたい。

 この日の対戦は「裏天王山」と言われていた。モンテがJ1残留を決めるためには、16位にいる甲府に追いついただけではだめで、その上にいるもう1チームを引きずり降ろさなければならない。降格圏のすぐ上にいるチームで手が届くかもしれないチームはアルビレックス新潟くらいのものだった。他は、鹿島や浦和やセレッソ大阪で、これらのチームはそのうち上にいくと考えなければならない。だから、ここで新潟を引き付けておくことが残留には極めて重要なのだった。
 写真は、ゲーム開始前、スタジアムのコンコースに集合して決起集会を開催しているモンテのサポーターたちである。真剣な想いがひしひしと伝わってきた。
 じぶんは、ここで何度も自己規定しているように“NSBF”という立場を貫こうと思っているので、この集団には加わらない。客席も、限られたビジター自由席ではあるが、なるべくサポーターの中心部から離れた場所に座り、声援と野次を飛ばしながら観戦した。
 ゲーム内容はといえば、モンテはさっぱりいいところがなく0対2でホームの新潟に完敗という状態だった。

 アウェーに追っかけてきて敗けたとき(これまでFC東京・大宮・川崎・新潟とアウェーに付き合っているが、一度も勝ちにめぐり合ったためしがない)は、帰りの気分が一段と重い。そのせいで悪態をつくのだと看做して欲しいが、初めて訪れたビッグスワン・スタジアムは大きくて立派といえば立派だが、その施設の印象はいいものではなかった。野球のスタジアムが隣接し、運河が引かれていて、広大な運動公園という体裁なのだが、緑が少ないせいか、それとも施設配置や空間デザインが大雑把なせいか、どうも全体としてガランとしていてホスピタリティに欠ける。運河の水が汚いのも気になる。
 一度スタジアムに入場したらもう場外に出られないという運営も良くない。場外の出店で飲み食いしたほうが良いのか、場内の店の方が充実しているのか、その判断ができない。
 ちなみに、場外には山形で馴染みの店舗も出店していたので、じぶんは場外に置かれた椅子とテーブルでビールを引っ掛けてから入場した。しかし、考えてみれば新潟にきたのだから、新潟のソウル・フードを喰いたいものだ。
 近くのテーブルが空いたので腰掛けようとしたら、新潟のユニフォームのレプリカを着た60代の夫婦とかち合い、「呉越同舟」することになった。(じぶんがモンテのタオルマフラーを首にかけていたので、そのオヤジが「お、呉越同舟だな」と言いながら腰かけたのである。)
 この髭オヤジにちょっと話かけた。以前にモンテの監督も努めた新潟の前監督・鈴木淳(現・大宮アルディージャ監督)はなんでクビにされたんだと聞いたら、「新潟は金がないから逃げられたんだよ」と言い、「鈴木は優秀な監督だったが、その前の監督に比べて愛想が悪くて人気がなかった」と言ったので、「新潟が“金がない”なんて言ったら、モンテはどうなるんだよ。うちは金欠で外人の助っ人がまったくいない。」みたいな話を返した。
 以前モンテに在籍していたころJ2の得点王になった大島について元気でいるかと訊いたら、「大島は足が遅くてだめだ。ゴール前でノロノロしている。」と言うので、「じゃあモンテに返してくれ」と言ったら、「ダメダメ」とケチりやがった。(笑)
 ・・・とここまで書いて思い出した。新潟名物(?)のB級グルメを食べたのだった。外見はスパゲティみたいだが、よく見ると麺の色は蕎麦みたいで、食べてみるとだらんとした饂飩みたいな「イタリアン」という奇妙な麺だ。例のオヤジは「新潟で“イタリアン”と言えばこれだよ。子どものころよく食べた。」と言った。この不味い麺で育った新潟の人間にはタジタジとなってしまう。
 


 さて、この日の「裏天王山」で敗北したリベンジを遂げるべく「裏天王山の再戦」となった7月30日のホームでの新潟戦も観戦した。
 ここまで、モンテは7月6日にホームで浦和と0対0で引き分け、その後、マリノスと名古屋に0対2で敗れるも、7月24日の福岡にアウェーで2対0と快勝。長谷川悠のダイビングヘッドも出て、やや調子を取り戻しつつあった。
 この日のゲーム内容は、モンテの動きは前回の新潟戦よりは格段に良かったが、右サイドを深く抉られたたった一度の機会に上手く押し込まれて点を献上した後、攻め上がるもののいつもの決定力不足でついに得点できず、0対1でまたもや敗北。この敗北は、残留の可否という点ではかなり重い結果になり、ゲーム終了後には、サポーターからついにブーイングが沸き起こった。(モンテサポは余程のことがない限りブーイングしないのだが。)
 夏休みに入った土曜日で、やや天候に不安はあったが対戦相手が「天地人ダービー」相手の新潟であることから、昨年までなら1万3千〜5千人くらいは観客があってもいいゲームだった。だが、入場者数は1万ちょっと。新潟サポが3千人くらいはいたように見えるから、モンテ側の観客は「ダービー」でも7千人程度という規模に減少していたと見なければならない。今季からホームのサポーター自由席が拡張されたことを踏まえても、大事な試合でサポーター自由席の向かって左側に空席が生じていたことが気になった。クラブ(スポーツ山形21)の更なる危機意識を喚起しておきたい。

 さて、ここで“NSBF”という立場から、モンテ及びJ1各チームのサポーターを見てきたことの感想を言えば、モンテの応援はなかなかいい。ひょっとしたら、今のJ1では、もっとも優れた応援かもしれない。
 第一に、真面目で自棄(ヤケ)にならない。第二に、J1でもっとも一生懸命チャントを繰り出している。第三に、自チームの選手を批判しない。(ちなみにじぶんはNSBFなので、モンテの選手への罵倒も繰り出しつつ観戦している。)
 とくに、ゲームの開始以前から終了後まで、ゲーム中はほとんど声が途切れることがない点、それとチャントのバリエーションが豊富な点は、他チームと格段に異なる。
 以前、たとえば仙台のサポと比べてモンテのサポの声援にはパンチ力がないというようなことをここで述べたような気がするが、J1のゲームを見続けてきて、この言い草に修正ないしは補足を加えなければならないと思うようになった。
 モンテ・サポのチャントに比較的パンチ力がないように思われるのは、モンテ・サポの声援がゲーム中ほとんど途切れることなく続けられていることと、そのチャントが“歌唱”になっていることの裏返しなのである。

 ところで、最後に、やはり残留への道が極めて険しいことについて再度述べておかなければならない。
 今季のモンテの不振は、まず、補強で田代や増田の穴を埋めることができなかった点に発しているが、とすれば今は、J1昇格1年目(このときも田代や増田が居なかった)に15位でかろうじて残留を勝ち取ったときとの違いは何なのかをもう一度振り返る必要があるだろうと思う。
 まず、小林監督の戦術の変化がある。
 2009年にはとにかく護りに重点を置いていたが、2010年は中盤から積極的に相手にプレスをかけ、攻撃の積極性を重視するようになった。
 さて、2009年には、クラブにも、それを支える地域にも「J1のモンテ」という輝かしい(というか信じられない至福の)状況をなんとか維持しようという熱気(というよりも必死さ)があった。これが“奇跡のJ1残留”を達成させたのであるが、この“初昇格効果”が2年目にも通用するわけではないことは、クラブ関係者にも、われわれファンにも見えていた。だから、2年目は1年目と同じ戦い方では勝ち抜けないという認識のもとで、小林監督は田代や増田の起用を梃子として“攻撃的なモンテ”を目指した。これは正解だった。
 だが今季、田代や増田に鹿島に帰られ、外人で唯一使い物になりそうだったウーゴは大震災の影響か一度も出場しないまま消え去った。シリーズのスタート時点において、これに代わるべき長谷川・大久保などの活躍がえられず、しかものびしろを期待した若手が上滑りするままに、ずるずるとゲームが消化されていった。勝ち点を重ねることができていないため、気づいたときはすでに“攻撃的なモンテ”から“護りのモンテ”に転換する機会を失っていた。ようするに、得点力欠乏症が明らかになった時点で、護りに徹する勝ち点の余裕がなくなっていたのである。ここに、対戦相手がモンテを舐めてくれていたために、スタート時点で勝ち点を重ねられた2009年との大きな違いがある。
 
 しかし、このことをもって小林監督の戦術・戦略が失敗したのだと指摘するつもりはない。
 負けが続く今季のゲームだが、だらしない負け方の試合はそんなに多くない。モンテの皆はよくやっている。ただ、技術力で(そしてたぶん持久力でも)、個人対個人では明らかに相手との格差があるのである。問題は、その技術的(さらには体力的)な劣勢を、モンテの選手たちがイマイチ認識していないように思われることだ。相手と同じパスでは、味方には通らない、相手より早く動かないとマイボールを保持できない・・・。
 そして、あとは抜け目なく少ないチャンスを得点に結びつけるタレントがいない“だけ”なのである。
 だから、今季のモンテは、まずはこれまでの戦い方を突き詰めていくほかない。大久保はゴールを決められなくていいからポスト・プレーに徹し、秋葉はミドルシュートを枠内に確実に打ち、石川はフリーキックをコーナーに集めること。サイドのMFらは中途半端に自分で切り込まず、サイドを抉ってできる限りマイナスのボールをFWに上げること。長谷川はそれをダイビングヘッドで枠内に打ち込むこと。そして、太田や川島や伊藤や古橋や宮崎や佐藤健や船山は、いつでもこぼれ玉を狙っていることだ。
 もちろん、それ以前に、マイボールのスローインを相手に奪われないように複数のプレーヤーが自らボールをもらいに行くこと、ロングボールについてはトラップ・ミスしないこと・・・この基礎をまずは徹底してほしいのだが。

 さらには、上記と同時にクラブとしては次の課題に対応することが必要だ。
 それは、今季でJ2に降格した場合どうやって次のJ1復帰を成し遂げるか戦略を構築し、いまからそのための布石を打つことである。それはとりもなおさず、J2に降格した際に、地域住民のクラブへの支持を如何にして維持・拡大するか、その方策を示すことに他ならない。
 じぶんとしては、8月と9月のゲームで降格圏を脱出できなかった場合、10月以降のゲームで大胆に地域住民を動員する手立てを講じることを提案したい。たとえば、入場料をすべて1人1,000円にする。あるいは、11月19日の福岡戦については、バックスタンドとホーム側サポーター自由席を全て無料にするなどである。これまでスタジアムに足を運んでいない住民、たまには観戦するがサポーターやファンとまではなっていない層の住民、そして中学生や高校生。そういう観客をまずは動員し、かれらにあの会場で「月山の雪〜」の合唱を聴かせ、あわよくば歌わせることが“J1復帰”への階梯となるだろう。

 さて、8月13日、次節は甲府をホームで迎え撃つ。
 勝っても勝てなくても、われわれは“モンテという快楽”とともにある。その快楽を味わいに、天童のスタジアムに繰り出そうではないか。                                                                                                       




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