2013年07月11日

大急ぎ サロベツ原野行(その1)






 早めの夏休みを取り、2年ぶりにJR東日本の「大人の休日倶楽部パス」(東日本・北海道5日間25,000円)を使って北海道を訪れた。その旅行記を掲載する。
 前回の北海道行は、2泊4日で山形と知床半島を往復する旅だったが、今回は3泊4日で稚内の宗谷岬まで往復する行程。宗谷本線の車窓からオホーツク海と利尻島を望み、日本最北のサロベツ原野を歩いてみたいという想いからである。
 計画は、1日目は山形から稚内へ直行して稚内の民宿泊、2日目に観光バスでノシャップ岬と宗谷岬を周り、サロベツ原野の湿原センターを観て原野の中の一軒家の宿「明日の城(じょう)」に宿泊、3日目は旭川の旭山動物園を観て札幌泊、そして4日目に山形へ直帰するという、前回2011年9月の「大急ぎ知床行」と同じく忙しない旅である。

 この旅の記録は、まずそのチケット確保の顛末から書き記さなければならない。
 前回、夜に山形を仙山線で出発し、青森発・札幌行の夜行急行「はまなす」の“カーペットシート”を利用したのだったが、じつは今回も初めはこれを利用しようとした。
 ただし、前回の教訓(ジジババが殺到する!)から、この特別割引パスの期間中に津軽海峡を渡ろうとする旅行者の数と青函を結ぶ列車の輸送力を鑑みると、チケット確保がさらに難しいだろうと考え、指定券が発売される1ヶ月前の日、発売時刻である午前10時の少し前に山形駅のみどりの窓口に並んだのだった。じぶんとしては、こんなふうにきっちりと1ヶ月前の発売時刻に並んでまでチケットを取ろうとするのは初めて。・・・さて、周りを見回すと、同じく大人の休日倶楽部パスで6回まで無料の指定券を取ろうと窓口に並んでいる個人やグループが複数見受けられたのだった。
 じぶんの後ろに並んでいた(1ヵ月後のチケットを購入するのではなさそうな)客の何人かに先を譲り、タイミングを見計らって10時1分くらいに窓口にかぶりつく。そして、「急行はまなすのカーペットシート、上の段があれば上の段をとってください」と注文した。
 ところが、窓口にいた職員は若い男性で、その胸に「実習中」というプレートを付けている。「はまなす」という列車の名称も聞いたことがないようだった。当然、タッチパネルを前に試行錯誤するが入力が叶わない。そこで、この実習生の指導係のこれまた若い男性職員が代わって取組むのだが、彼も手順がわからず、マニュアルらしき分厚いファイルを持ち出したり、先輩に聞いたりしながら対応する始末・・・やっと入力できたのは10時15分くらいで、時既に遅く、「カーペットシートの上の段」はもちろん、カーペットシートの全てが売り切れていたのだった。(が~~ん!)
 「大人の休日倶楽部パス」の販売期間の、それも「10時」という1秒を争う入力が必要な時刻に実習生を窓口に置いておく無神経ぶり。そしてその指導を一人前でない職員にさせているお粗末さ・・・それなのに、「全部塞がってますね」と何の痛痒も感じないような口ぶりをする職員に、「JR山形駅は何を考えているんだ!」と怒鳴りだしたい気持ちだったが、そこをぐぐっと堪え、「そりゃそうでしょう、入力に10分以上もかかっているんだから・・・」などとぶつぶつ言いながら、それでもその日は大人しく立ち去ったのだった。
 というのも、夜行急行「はまなす」の一般シートに座って青函トンネルを越え、さらに稚内まで連続して列車に乗っていくには気力・体力に自信がなく(というのも、前回2泊4日の知床行のあと、不覚にも生まれて初めて帯状疱疹になったのだったから)、やむなく翌朝の出発に切り替えることにしたのだった。
 そこで翌日の午後13時ころ、ふたたび山形駅の窓口に並び、今度は仙台発8:06の東北新幹線「はやぶさ1号」と、それに接続する新青森発10:16の「スーパー白鳥11号」の指定席を申し込んだ。ところが、返ってきた答えは「はやぶさ1号もスーパー白鳥11号もグリーン車以外は埋まっています」というものだった。(がが~~ん!)
 「はまなす」のカーペットシートは1両だけだから、この割引パスの有効期間であればあっという間に売り切れることも頷けたが、「はやぶさ」と「スーパー白鳥」の指定席はかなりの数になるはずである。これが昼までに売り切れたということは、旅行代理店(とりわけ「びゅう」)が大量に仕入れたのではないかと思わざるを得ない。
 やむを得ず、仙台発6:40の「はやて95号」を確保し、青森~函館の間は立ち席を覚悟することにしたのだった。ただし、この仙台発6:40に乗車するためには前日の列車で仙台に行く必要がある。じぶんはネット喫茶というものにどうもいいイメージがないし、長旅の前にマクドナルドで夜明かしするほど体力に自信もなかった。仕方なく、まずは仙台前泊も覚悟で、「はやぶさ1号」のキャンセル待ちをすることに決め、この日も意気消沈しつつみどりの窓口を後にしたのだった。

 さて、だが、この話にはまだ続きがある。
 大人の休日倶楽部パスを購入した際に渡された説明書き(「ご案内」)をよく読んでみると、「盛岡~新青森、盛岡~秋田相互間内は指定席をとらずに普通車の空席を利用できます。また仙台~盛岡間の途中駅に停車する「はやて」で同区間を相互に利用する場合も同様です。」と記されている。
  「盛岡~新青森、盛岡~秋田相互間内」の新幹線は全て指定席で自由席の設定はないのだが、「立ち席」ならこのパスでも乗れるというのだ。これは天の助けとばかりに、ちょうど用事があって立ち寄った天童駅のみどりの窓口で問い合わせてみることにした。というのも、ベテランみたいに見える年齢の男性職員がいたのだったから。
  「ここにこう書いてありますが、これはつまりこのパスがあれば指定が取れなくても乗れるということですか?」と尋ねたところ、しかしその職員はこの記載を初めて読んだ様子。どう扱ったらいいのかわからず、どこかに電話して問い合わせたのだった。・・・その結果、大人の休日倶楽部パスで、盛岡発8:46の「はやぶさ1号」(つまり先に取ろうとした仙台発8:06と同じ便)の「新幹線指定券(立ち席)」というチケットが発券されたのである。
 ところが、その窓口職員は、じぶんの大人の休日倶楽部パスに星印がすでに6つ付いており、つまりは仙台発6:40の「はやて95号」を含めて既に6枚の指定券が発行されていたことを見て取って、「これでは駄目です」というのだった。やむをえず、「はやて95号」をキャンセルするという形で立ち席券を受け取ったのだが、どうも釈然としない。立ち席券は“空いていたら座っていいよ”というチケットなのに、「指定券」扱いされるという点だ。もちろん、「はやぶさ1号」を利用すれば「はやて95号」は利用しないのだが、その分の指定券1枚分の権利は、べつのチケット、たとえば宗谷本線の帰りの特急サロベツの指定券などに活用する必要があったのだ。
 その場は仕方ないと引き下がったが、どうにも納得できないので山形駅のみどりの窓口に再度問い合わせた。すると、やはりこちらでも、この券を発券されれば、それは6枚の指定券の枠に含まれる、そしてこの券を発券されなければ、「はやぶさ」に乗車することはできないと言うのだ。
 たしかにチケットには「新幹線指定券(立ち席)」と記載されている。だが、上記の内容が大人の休日倶楽部パスの説明書きに記してあるということは、「新幹線指定券(立ち席)」を必要とせず、本体パスのみで乗車することができると(つまり本体パスだけで「やまびこ」などの自由席を利用できるのと同じように)解釈すべきではないだろうか。というか、大人の休日倶楽部パスの「ご案内1」から「ご案内2」へと読み進んでくると、そう解釈するのが自然な表記になっている。「指定席をとらずに普通車の空席を利用できます」という記載は、「指定券をとらずに」という意味に解釈するのが妥当だろう。このへんはJR東日本に改善を願いたいものである。

 しかし、まぁ、これでなんとか盛岡から「はやぶさ1号」を利用できることになった。盛岡までの連絡には「やまびこ」の自由席が利用できる。稚内まで5回の乗り換えが必要になったが、これで仙台前泊が回避できることになり、仙台までのチケット代と1泊分の宿泊代が節約できる・・・と、一応は喜んだのだった。(続く)  ※写真は旭山動物園のオオワシ
                                                                                                                                                               
 

  

Posted by 高 啓(こうひらく) at 00:19Comments(0)歩く、歩く、歩く、