2010年10月14日

モンテディオ山形 ぶらから観照記 その2



 モンテディオ山形は、8月の末から9月にかけて苦しい時期を迎えることになった。
 10月12日現在、モンテはその時期を乗り越えそうな気配を見せているが、例によって、この間じぶんがホームで観戦した際に感じたことなどを記しておきたい。



 まず、8月以降のモンテの戦績を振り返っておこう。
 8月7日・第17節の磐田戦(ホーム)、13日・第18節の新潟戦(ホーム)、17日・第19節の横浜戦(アウェイ)と3連勝して、モンテは上昇気流に乗るかと思われた。しかし、22日・第20節の神戸戦をホームで引き分けて以降、苦しい時期がはじまる。
 28日・第21節の広島戦(アウェイ)を落とすと、9月12日・第22節の名古屋戦(ホーム)も0−1と敗北。19日・第23節の仙台戦=東北ダービーでは、前回(第13節)の勝利の勢いで5,000名とも言われるサポーターが敵地・宮城スタジアムに乗り込んだものの、仙台の返り討ちに合い、0−2と完敗する。
 さらに25日・第24節では、上位との対戦が多い残りのカードを見ると、ここで勝っておかなければならない最下位の湘南に1−1で引き分けてしまう。
 この5試合の流れをみていると、秋葉や古橋の怪我による離脱や不調による戦力の低下はあったものの、モンテは全体としては必ずしも悪い状態にあるという感じはしなかった。もっぱら得点力の貧弱さゆえに勝てないという印象が強かった。
 そんな感じで迎えた10月2日(土)第25節のガンバ大阪戦(ホーム)。ここで、モンテは今まで勝利したことのなかったガンバに2−1と逆転勝ち。・・・その勢いで、10月9日(土)の天皇杯3回戦では、2週間前に引き分けていた湘南に3−1と快勝した。

 この期間にじぶんがホームで観戦したのは、第18節の新潟戦、第24節の湘南戦、第25節のガンバ大阪戦、天皇杯3回戦の湘南戦。(第23節の仙台戦はテレビでの観戦だった。)
 まず第18節の新潟戦だが、試合の印象は薄れてしまったが、憶えているのは、マルシオ・リシャルデスの動きが素早くて脅威だったことと、その動きとそこからのパスコースを、モンテの守備陣がうまく抑えられたことである。
 この試合は8月13日(金)だった。NDスタの入場者は14,118人。昨年の「天地人ダービー」にはかなりの新潟サポーターがつめかけてくれたが、今年は日程の関係もあって昨年より少なめだった。昨年、新潟サポで埋まったバックスタンド南は今年もアウェイ側にとってあったが、この日は空きが目立った。
 13日はお盆の墓参りの日ということで、山形の熱心なサポーターでも「家族で墓参りをするから、新潟戦は行けない・・・」という人もいた。
 そんな日に出かけるおまえはいい気なものだと言われそうだが、職場の同僚にお盆休みを譲ってじぶんは出勤。そして仕事上がりに19時からのゲームに駆けつけたのだった。
 クラブにとって新潟とのホームゲームは、仙台戦、浦和戦、鹿島戦に次ぐドル箱のはず。山形に押しかけてくれる新潟サポが地域に落とすお金も大事である。新潟戦が夏休み中に設定されたことは有利に働いただろうが、8月13日(金)はどうにもまずかった。つまりお盆休みをとっている人については13日というのがまずいし、お盆休みを取れない人については金曜日という曜日がまずい。
 このような状況での14,118人という動員実績が、今のモンテにとってどういう意味を持つか一概には言えない。だたし、新潟戦では16,000人以上を目指すべきではないかという感じがする。仙台とのダービーに際してホームゲーム開催地で両チームが共同記者会見を催すように、新潟戦についても、これが「ダービーマッチ」であることをもっとPRすることが大切に想える。
 開催時期のことを言えば、これと同じことは、10月2日(土)の第25節ガンバ大阪戦についても言えた。この時期は、芋煮会や地区の運動会の最盛期である。
 今年のガンバとのホームゲームは入場者12,018人。昨年はもっと多かったよう(15,000人以上?)に思う。昨年は、少なくてもメインスタンド自由席とバックスタンドのチケットは売り切れだった。ガンバ戦や横浜Fマリノス戦も新潟戦の次くらいに重要だと思える。これらでは15,000人以上の入場者を目指したいところだ。
 ガンバのサポには遠いところをよく駆けつけてくれたと感謝したいが、それはそれとして、彼らがゴール裏のビジター席を埋めるほど来形してくれるのを期待することはできない。ガンバの人気、あるいは遠藤保仁の知性的なパスの魅力を借りて、地元の観客を動員しなければならないのである。ガンバのように魅力のあるチームとのゲームを中心に据えて、モンテのホームゲームに隣県(宮城、秋田、福島など)からの誘客を狙ってPRすることも必要だろう。
 もっとも、昨年の状況との違いはある。・・・昨年は、モンテが初めてJ1に昇格して、鹿島やガンバなどの強豪チームや日本代表選手らを山形で観ることができるという新鮮な期待と感動があったし、浦和や鹿島を嚆矢とする強力サポを迎え撃たねばならないという意気込みもあった。
 一方で、今年については、このガンバ戦の前に連敗していたモンテ側の問題もある。あまり熱心でないファンには、強豪のガンバに今の状態のモンテはとても勝てそうにない、モンテがやられるところを観たくない・・・という心理も働いたことだろう。

 ・・・とこう書いてきて、はて?Jリーグの対戦日程は、現在どのように決められているのだろうか・・・と、ネットを検索してみた。
すると、どうもこういうことらしい。
 フランスのILOG(アイログ)という企業が、Jリーグと「制約プログラミング」と呼ばれる最適化ソフトウェア、すなわち「Jリーグ・マッチスケジューラー」という対戦スケジュール作成ソフトを開発し、これで策定しているというのである。
 この情報による限りでは、ようするに当該日にホームチームのスタジアムの使用が可能かという要件と、同じ地域(同じ県)にJ1とJ2で2つ以上のクラブが存在するところの入場者を確保するために、これらのホームゲームが重ならないように配慮するというような要件を勘案して、日程と組合せをはじき出すということだ。
 結果には、一部、各クラブの事情も反映されているのようだが、しかし、地方とくに山形のような四季がはっきりしている地域について、その自然条件や四季に応じた習慣・習俗に関連した観客動員の事情、そして田舎の貧乏クラブゆえに殊更切実な「ダービー」をめぐる事情などが考慮されているとは思えない。
 とにかく“プロビンチア”たるモンテディオ山形の運営母体(社団法人山形県スポーツ振興21世紀協会)は、プロビンチアたることを理由として、もっともっと観客動員と来形者の確保のために、Jリーグの試合日程設定に対して自己主張すべきであるし、Jリーグ当局も、プロビンチアの入場料収入やプロビンチアを支える地域の利益を考えて、これに一定程度の優先的な扱いをすべきである。



 こんなことの実現は不可能かもしれないが、思いつくままに日程設定上の留意点(というか願望)を述べておく。
 モンテディオ山形の運営母体は、各チームとの試合日程の設定にあたり、たとえば次のような要素を考慮し、Jリーグ当局に対して都合のよい日程を主張し、これを勝ち取る努力をすべきである。


? 理科年表で例年の気象を詳細に検討したうえで、ドル箱試合を天候のいい時期に組む。
 たとえば、今年、最大のドル箱の仙台戦は7月17日で、これはまだ梅雨の時期。晴れる可能性が高いのは、山形で梅雨が明ける7月20日過ぎから8月の七夕前(花笠まつりの前)までだが、今年、ここに設定されたホームゲームは7月28日(水曜日!)の川崎戦のみ。7月24日(土)と8月1日(日)はアウェイ。とりわけ7月最後の1週間に準ドル箱戦を設定すべきである。
 なお、「ドル箱戦」というときの“ドル箱度合い”からみた順位は、私見では以下のとおり。

  【ランク1】仙台・浦和・鹿島
  【ランク2】新潟
  【ランク3】G大阪・横浜Fマリノス・名古屋
  【ランク4】川崎・清水・東京
  【ランク5】大宮・湘南・神戸・磐田・C大阪・京都・広島
  
  ※ 余談だが、大宮と湘南は、距離が近いのに山形に来るサポが少ない。これでは降格するぞ〜〜。

? 学校が夏休みの時期に関東のチームとの試合を組む。
 今年の場合は、夏休み中のホームゲームは前記7月28日(水)の川崎戦と8月13日(金)の新潟戦のみ。先に述べたように、川崎戦は平日、新潟戦は墓参りで平日と、どちらも失敗であった。
 夏休み中に設定したい相手は、川崎、東京など。今後、柏や千葉がJ1に昇格したら、これらのチームもここに設定する。
 この時期は、関東から家族連れでの来形を促進し、山形の自然や農村体験などのPRと組み合わせて、観光との相互波及効果を狙うこともできるだろう。
 なお、注目したいのはFC東京のサポ。かれらは山形市内の蕎麦屋めぐりをするなど、事前の情報を収集して来形している。しかも、あまり集団では行動しない、なかなか“通”なところがある。

? 仙台や新潟は、山形の観光シーズンを除き、もっとも天候のいい時期に組む。
  
? G大阪、横浜Fマリノス、名古屋、川崎、清水、東京などは、山形の観光シーズン(桜、さくらんぼ、紅花、夏祭り、紅葉などの時期)に組む。

? 浦和、鹿島の設定は十分注意して、休日の前夜(可能な限り土曜日の夜)に組む。
   今年はホーム開幕戦が3月21日(日)の浦和、ホーム最終戦(=最終節)が12月4日(土)の鹿島である。天候の悪い時期に浦和と鹿島というのは、ある意味では都合がいいのだが、「ホーム開幕戦」という相手がどこであろうともある程度盛り上がる節に、ドル箱中のドル箱である浦和というのはもったいなかったような気がする。なお、鹿島の絡む優勝争いが最終節までもつれ、ビジターが増えることを期待したいものである。

 ・・・おっと、入場者数確保や地元への経済的効果などクラブと地域の銭勘定のことばかり考えていたら、話がずれて長くなってしまった。しかし、これもみんなモンテをどうやって盛り立てていくかという心配から出ているのだよ・・・あっは。
 さて、この間、いちばん印象的だった第25節のガンバ大阪戦と、その後の天皇杯3回戦の湘南戦については、次回あらためて記載したい。                                                                                                                                                             



            
  

Posted by 高 啓(こうひらく) at 00:15Comments(0)サッカー&モンテディオ山形