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2010年05月03日

山形県詩人会情報(2010年春)

1 山形県詩人会2010年度総会

 総会は4月24日に山形グランドホテルで開かれ、役員の新体制が決まった。

 会  長:  高瀬靖(酒田市)
 副会長:  芝春也(山形市)
 事務局長: 松田達男(山形市)
 理 事:   いとう柚子(山形市)、井上達也(山形市)、遠藤敦子(南陽市)、近江正人(新庄市)、高 啓(山形市)、
        佐藤傳(寒河江市)、高橋英司(河北町)
 監 事:   佐藤亜美(山形市)、上野政蔵(東根市)

 これまで会長を務めていた木村迪夫氏(上山市)が体調不良を理由に、またこれまで事務局長を務めていた芝氏が町内会長就任による多忙を理由に、降任を申し出たので、理事会において、会長に前副会長の高瀬氏、事務局長に松田氏、副会長に芝氏を選出したものである。
 新役員(理事等)は総会で選出し、会長ほかの三役は理事会で決めると規約にあるが、今回は、総会前の理事会で三役ほかの役員を決め、葉書で会員に承認を得るという手法をとった。このように、山形県詩人会は、良くも悪しくもアバウトな体質の組織である。



 なお、木村前会長は、体調不良と言っても、重病というわけではなく、日常生活に支障があるような状態ではない。総会及びその後の懇親会にも出席された。また、最近、『山形の村に赤い鳥が飛んできた―小川紳介プロダクションとの25年』(七つ森書店)という著書を上梓し、4月17日には山形市内で佐高信氏の講演会で同氏と対談している。


















2 第9回山形県詩人会賞


 3月31日、理事による選考委員会が開催され、今年の山形県詩人会賞は、松田達男詩集『Home―私の好きな家―』(一粒社)に決定された。
 選考委員長の高橋英司による「授賞理由」を転記すると、

 「建築物と文芸のコラボレーションであるが、写真によりかからず、言語表現として自立しており、また、作者の建築物に対する思いと心象がスパークし、職業的視点が詩的達成を遂げたものである。本県の詩史上においても稀有な詩集であることを認め、受賞作品に決定した。」
 

 この詩集は、山形市内の建築物を題材に、「ひとりの建築士として、内部の間取りをあれこれ想像しながら、実在とは関係なく、外観から伝わるイメージを自分なりに言葉にして創り上げた」(著者あとがきより)作品群からなっている。
 ここでは、歴史的な建造物である「文翔館」、「山形市郷土館(旧済生館本館)」はもとより、市中の洋風建築である「市島銃砲火薬店」、「山形七日町二郵便局」、「山形県環境衛生会館(旧駆梅館」、「西村写真館」などが取り上げられているほか、一般人なら何気なく見過ごすであろうところの、代わり映えのしない民家や商店・旅館なども題材にされている。
 作者は、建築士ならではの観点からその内部構造を想い描き、そしてそのなかで繰り広げられているであろう人間関係のドラマを想像して、詩作品を成立させている。
 その詩行は、表現が必ずしもこなれていないため、やや硬く、説明的でありすぎたり、弁士調に流れていたりするという側面をもってはいるが、“外観から内部を想像する”というこの詩人固有の姿勢は、とくに人の住む建物(=Home)を扱った作品において、建物内部に息づく、陰影を伴った人々のイメージの生成に成功しているようにみえる。

 

3 万里小路 譲氏の講演

 総会後、会員で鶴岡市在住の万里小路 譲氏に記念講演をお願いした。
 万里小路氏は、「郷土の名詩という幻想―郷土の郷土性という創世―」と題して、タイムリーかつ本質的な問題提起を行った。
 「郷土の名詩」というテーマがタイムリーだと言うのは、ちょうど山形県芸術文化会議が、「郷土の名詩」を集成したアンソロジーを編纂しようとして、県内詩人たちに、収録作品の推薦を依頼してきていたからである。
 この企画の面白いところは、選出対象作品が、現在活躍中の詩人の作品であることを原則とするという点である。
 万里小路氏は、“生成されるものとしての郷土”という観点から、「認識としての郷土」という考え方を提起。「共同体内部で自足していく閉鎖性から脱却し、絶えず新たな世界性を見出していく志向性」であり、「流動し、絶えず変化する価値を有している文化性」であり、「新たな世界をつくるような共同性」であるような<郷土という幻想>を創成していくべきであると述べた。
 また、この郷土において、「詩作品に対して批評・評論がない」現状を変えていくことが必要であり、そのために自分は山形県内詩人の作品を対象とした評論を継続していると述べた。

 なお、ここからは万里小路氏の講演とは別の話だが、総会参加者の情報交換のなかでは、この山形県芸術文化会議の企画は、同会議の役員である県詩人会のメンバーも知らないうちに進められているという話だった。
 県芸術文化会議という半ば公共的な意味をもつ団体の企画であるにも関わらず、誰がどんな方法で採否を決めるのか役員にも不明とは、まぁ、ものごとの進め方としては未熟である。ようするに、これがわが山形の<閉鎖的な郷土性>の一端ということであろう。
                                                                                                                                                                



  

Posted by 高 啓(こうひらく) at 22:48Comments(5)山形県詩人会関係