新緑の蔵王

高 啓(こうひらく)

2007年05月26日 19:46



 新緑の蔵王を訪ねた。

 蔵王中央ロープウエイの山頂駅を降りると、そこには大きなお地蔵さんが鎮座している。

 ここから振り返り、地蔵岳の山頂まで残雪の上を歩く。





 この日は晴天で、下界では初夏を思わせる暑さだったが、地蔵岳の山頂(1,736m)は強い風が吹いていて体が芯まで冷える。

 ここは毎年最高で風速50メートル以上の風が吹き、冬でも雪は積もらない。気温は零下20度位まで下がる。(零下20度までしか下がらないと言うべきか。)

 この強風と凍上の環境の中でよく植物が生育するものだ。
 ミネヤナギ、ミヤマネズ、タカネコウボウ、ガンコウラン、コケモモ、ミネゾウ、ミヤマハンノキなどが寄り集まって、小さな植物島のような塊をつくっている。

 まず、なにかひと株の植物が根付くとそこに風で表土が集められ、その表土に少しずつ植物が集積していく。すると集積した植物が根を張る部分の土は凍上によって持ち上がり、島のようにもっこりとしていくのだ。



 その島の風が当たる側(蔵王では西側)はまるで波で削り取られた海岸ように土が削り取られて、草木の根が剥き出しになる。だがその一方で、風下の側は植物がより繁茂し、群落をつくっていくのである。









 こうして密集したガンコウランの花(写真)が、いま咲き始めている。

 ショウジョウバカマの花も一株みつけた。









 北を望むと雁戸山への稜線がきりりとしていて心地よい。
 






 南は熊野岳(写真左手のピーク)で、これを過ぎると蔵王のシンボルお釜が姿を現す。

夏に、あの逞しくも可憐なコマクサを見にきたいと思う。

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