2007年08月11日

詩&エッセイ『む』7号



 「詩工房」(芝春也)発行の『む』7号の、いとう柚子の詩「逝ったひとに」が印象的だった。
 
 「母」であり、「姉」であり、「はじめてみる女のひと」であった姉・・・。
 吹雪の朝は、その姉のマントにすっぽり包まれて学校へ送ってもらった。
 ふたりで子供部屋に駆け込んで笑いころげた。
 夕暮れ時に梨の木にもたれて「よその国へ行きたいと思わない?」と呟く姉にどきっとした。

 その歳の離れた姉を、作者は「わたしのあなた」という。
 姉が年老いて意識がなくなり「境界の人」となっても、「見られている/聞かれている それでよかった」という。
 そして、「五月の風にすいこまれていったあなたなどわたしのあなたではない」(最終行)と。

 作品をそのまま引用することは控えるが、その誘惑はつよい。
 とても瑞々しい感性の作品だ。
 


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Posted by 高 啓(こうひらく) at 12:21│Comments(0)作品評
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