2011年09月02日

モンテ観照記 2011 「仙台サポの中傷横断幕を鑑賞する」



 本ブログの前回書き込みのとおり、じぶんは8月最後の週末に湯沢に帰省したため、27日土曜日の「みちのくダービー」(仙台ユアスタ)に駆けつけることはできなかった。
 後日、マスコミの報道で、ゲーム終了後に仙台サポの一部が以下のようにモンテ側を中傷する行為を行い、ベガルタ仙台当局が謝罪し、これらの行為に関係したサポーターに入場禁止やボランティア従事の処分を下したことを知った。
 そこで、当該行為を行ったBACKSという仙台サポのブログhttp://backs12.exblog.jp/15353975/を覗いてみると、彼らが行った行為は以下のようなものだった。

【ここから引用】
 なお今回の件における経緯は下記のとおりです。
・新聞にも掲載されていましたが、(5/23河北新報参照)、
 一部の山形サポーターとの話の中で、
 復興支援とダービーは別に考え、煽り合い等、
 いつも通りのダービーの環境で応援を行おうと言う話がありました。
 以上を踏まえ、山形戦を盛り上げようと、我々は話し合いを行い、
 その結果、試合時に山形を煽りながらも激励するような白幕を作成し、
 山形戦の勝利後、掲示しようと考えました。白幕への文言は試合当日スタジアム付近で考え、作製を行いました。
 白幕の内容
 「りあるとーほぐ(笑)まだ名乗るの?」
 「マジでガンバレ月山山形!」
 「諦めたらそこで終わりだよ。がんばろう山形」
 「さよなら 大好きなDio」
 我々にとっては、山形サポーターとの話の経緯もあり、
 上記内容は問題ないとの認識でした。

・山形戦の試合後、白幕の掲示、
 そして「さよなら山形」のコールを2回行いました。
【ここまで引用】


 仙台に敗れた後、降格の危機をひしひしと痛感するなかで仙台サポにこれをやられたら、じぶんもたしかに嫌な想いをするだろうなと思った。
 それに、じぶんは、そしてたぶんモンテ・サポの多数派は、昨年、ベガルタ仙台が降格の危機にあったとき、彼らにぜひ残留してほしいと願っていたから、かなり哀しい想いをするだろうなとも思った。

 しかし、まぁ、これも“みちのくダービー”の長い歴史の中の一コマだろう。
 そんな観点から、この横断幕の文言を“鑑賞”してみようではないか。


? 「りあるとーほぐ(笑)まだ名乗るの?」

 これは、モンテサポの掲げる横断幕に「REAL TOHOKU」というような文言があるので、それを冷やかしたものだろう。「りあるとーほぐ(笑)」と、いわゆるズーズー弁=東北弁で表記したところがミソだ。
 しかし、これまでの歴史のなかで、東北の方言が「ズーズー弁」と言われ蔑視されてきたことを考えれば、これはこれを掲げた東北の者たちの自虐ネタということになる。天に唾することだと言ってもいい。
 これを書いた者たちは、自分たちはダサい東北弁のイメージから解放されていると思っているのだろうか。
 サントリーの佐治という会長が、首都を東北に移転すべきだという議論を聞いて「あんな熊襲の土地に首都を移すなんてとんでもない」と発言し、批判を浴びて東北の県庁をお詫び行脚したのはそんなに昔のことではない。(「熊襲」は九州の蛮族の謂いで、東北のことをいうなら「蝦夷」と言っていただかなければならないのだが、佐治氏は学がなくて「蝦夷」という蔑称さえ知らなかったのだろう。)
 仙台の人間も、西日本の人間からみれば、「とーほぐ(笑)」や熊襲なのである。わが身をよく知らなければならない。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E5%8C%97%E7%86%8A%E8%A5%B2%E7%99%BA%E8%A8%80

 ところで、いま放映中のフジテレビのドラマ「全開ガール」はいいね。ヒロインの新垣結衣がいい演技をしている。山形は庄内地方の方言(それはあまり正確な庄内弁とは言えないが)でしゃべっている。「とーほぐ(笑)」は、いまや優秀で必死に生きる主人公像に欠かせないイメージなのだ。


? 「マジでガンバレ月山山形!」

 「月山山形」は、2008年から2009年のオフに、モンテディオ山形の運営母体である「社団法人山形県スポーツ振興21世紀協会」の海保宣生理事長(当時)が、東北芸術工科大学デザイン工学部情報デザイン学科の中山ダイスケ教授に依頼し、同教授によって考えられた「フルモデルチェンジ構想」におけるチーム名の改名案のひとつ。
 正確には「月山形」と表記して「がっさんやまがた」と、「山」を二度読ませるのである。
 じぶんはいい案だと思ったが、モンテ・サポの多数派には不評だった。(モンテディオ山形という名称を変えるべきではないというサポが多かった。)
 モンテ・サポが誇りにしている「モンテディオ山形」を貶し、モンテ・サポに嫌な記憶を思い出させようというところだろう。
 しかし、じぶんは、仙台サポがよくこの名称を憶えていたなぁと思ってしまう。
 「月山形」(Gassan Yamagata)は、それほどに印象的な名前だということを、逆に証明しているということだろう。
 なお、「フルモデルチェンジ構想」については、過去に言及しているので、ご覧あれ。http://ch05748.kitaguni.tv/e800713.html


? 「諦めたらそこで終わりだよ。がんばろう山形」

 いちばん毒が薄いように見えるが、この文言がいちばん性質が悪い。
 「がんばろう東北」という合言葉で大震災の被害に立ち向かっている宮城県民が沢山いるだろうに、そしてそれをマジで支援してきた山形の人間もいるだろうに、そのことに考えが及ばないのは、やはりアタマが悪すぎるといわなければならない。
「復興支援とダービーは別に考え、煽り合い等、いつも通りのダービーの環境で応援を行おう」としたのなら、大震災を想像させるこの一言だけは使ってはならなかった。


? 「さよなら 大好きなDio」

  たしか、昨シーズン、FC東京が某大クラブ・サポの一部から、J2降格が決まったようなことを言われて問題になったのだったと思うが、その真似をしたということだろうか。
 モンテは、財政規模の小さな、したがって選手補強がままならない弱小クラブ(プロビンチア)ではある。しかし、サポーターの価値は、その支援するクラブの基盤が弱ければ弱いほど、逆に高いと思っていいだろう。
 弱いクラブをいかに支え、いかに伸ばせるかに賭け、その結果としてプロビンチアであることにいかに誇りを感じられるかというところに、サポの醍醐味がある。
  じぶんに言わせれば、強いクラブ、つまりは大スポンサーがついていたり、大都市でファンが沢山いたりして収入の多いクラブのサポーターなんて、さっぱり魅力がないし、なりたいとも思わない。順位が上のチームのサポーターが、下位のチームのサポーターより優越していると思ったらとんだ勘違いである。


 ということで、仙台サポの諸君。
 2012シーズンは、仙台と山形はリーグを異にしてしまうかもしれないが、ベガとアルタイルのようにまたいつか、J1の「みちのくダービー」で会おう。
 ベガルタ仙台のJ1定着を願っている。
                                                                                               

  

Posted by 高 啓(こうひらく) at 01:44Comments(1)