2009年08月07日

モンテディオ山形vsガンバ大阪



 2009年8月1日、天童市の県立総合運動公園べにばなスポーツパークのNDソフトスタジアムで、J1リーグ戦第20節、モンテディオ山形vsガンバ大阪を観戦した。

 前々節のホームゲーム・7月19日のジュビロ磐田戦では、モンテが磐田を3対1で粉砕。
 これも観戦したが、このときは久々にいい意味で興奮し、浮かれ気分で帰らせてもらった。
 地元ラジオ局で生中継があったので、それを方耳のイヤホンで聞きながら観戦・・・自分の席からよく見えない部分の動きも知ることができて都合がよかったのだが、一方で、知らず知らずのうちに放送内容に頼って試合を観戦していた・・・これは善し悪し。
 ジュビロは、磐田での今期開幕戦で6対2とモンテに大敗しており、リベンジを期して山形に乗り込んできたはずだが、そのことを意識したぶん硬くなったのか、それとも前回の大敗がトラウマになっていたのか、とにかく動きが悪かった。途中加入で磐田を盛り上げてきたイ・グノが、移籍のため磐田を離れた(現在は復帰)ということはあるだろうが、それにしても首をかしげる出来だった。
 日本代表の川口は、今期、モンテとの2試合で9失点・・・勝負の世界は厳しいとはいえ、川口がちょっと可哀想・・・と思ってしまうのだが、そ〜んなことを言っている場合ではない。モンテは相変わらず降格争いを脱していないのである。

 しかし、前節のアウェーでも、首位鹿島を追う新潟に1対1と引き分け、リーグ戦後半のモンテは調子を上げてきたので、このガンバ戦でもいい試合をしてくれるのではないかと期待していた。
 スタジアムに着くと、すでにアウェー自由席以外は売り切れ。じぶんは前売りでかろうじてバックスタンド南席を入手していたが、夏休みで家族連れが多かったことや、ガンバ大阪の人気で、これだけの人が詰め掛けたということだろう。佐々木勇人やレアンドロという元モンテの懐かしい名もあるし、遠藤保仁の人気もなかなかのようだ。かく言うじぶんも、遠藤のパスを生で一目見ておきたかった。

 ガンバのサポーターは500を切るかと思われたので、モンテ側の観客が16,000人詰め掛けたとみてもいいだろう。ホームチーム側の観客だけでこれだけ埋まったというのは、数年前のJ1昇格を賭けた試合以来、久しぶりのことだと思う。
 ひとつ気になったのは、バックスタンド自由席での地元ファンの座り方。席はベンチ式の腰掛で、1人分の区間にナンバーの振られた小さなプレートが貼り付けてある。売り切れになっているのだから、その狭いスペースに1人ずつ詰めて座らなければならないのだが、これがしっかりとは守られていない。
 ボランティアの会場係が、売り切れなので満席になるとハンドマイクで注意を促しているのだが、気に留めない者もいる。1人で1.5人分を占めたり、隣の人と間を空けたりして座っている。この辺が、山形の人間が“田舎者”だという部分。とくに、子連れで来た親は子どもに注意を促し、それとともに自ら身を正すべきだろう。
 このところの天候不順(すでに“異常気象”の域に入ったということだが)から、この日も夕方から雨になるという予報だった。この天気予報を見て、観戦をパスした前売りチケット購入者もいたはずである。それで“売り切れ”でもほんとうの満席にはならなかったのだと思うが、これがいい天気だったら、チケットを入手していても腰掛けられない観客が出たのではないかと老婆心が頭をもたげた。(苦笑)

 


 試合開始前の応援合戦では、いつもよりモンテ・サポの元気がいいように思えた。巨大な炎を描いた新調の展開式フラッグが(たぶん初めて)披露され、いつもの横の動きを入れた応援も迫力を増したような気がする。
 J1の試合を観戦するようになって感じたことは、J1の各チームの応援が、けっこう単調なことだ。声や音は大きいが、いまいち面白味に欠ける。
 それに比べ、モンテの応援歌や応援コールは、他のチームと比較して、なかなか変化に富み、いい線いっているという感じがしてきた。
 モンテがJ2の時代、J1に一度昇格して、J2に降格してきたベガルタ仙台とのゲームを観戦すると、仙台サポの応援がモンテ・サポの応援よりもずっとパンチ力が効いていて、さすがJ1で鍛えられたサポは違うなぁ・・・と思っていたのだが、最近は、パンチ力はそれほどでなくても、モンテ・サポのコールにはなかなか味があるなぁと思うようになった。
 選手入場の際に「Over The rainbow」のスキャットを、サポーター以外の観客も、僅かずつだが口ずさむようになってきているのも、いい感じ。

 さて、ゲームのほうだが、これはまったくのガンバ・ペースで進んだ。
 前半、相手に押し込まれ続けるのは、ある意味“モンテのペース”(?)なのだが、この日は、後半も含め、終始ガンバにいいようにボールをコントロールされた。
 モンテによる中盤のプレッシャーは効かない。反面、相手のプレッシャーには苦しめられ、前線にいいパスが繋がらない。モンテの基礎能力の相対的な低さを示す部分なのだが、ゴールキックなど味方からのロングボールの支配が、まったくできない。味方のスローインも相手に取られる。とくに、得意のサイド攻撃をさせてもらえなかったのが痛かった。
 逆に言えば、サイドへのパスコースを遮断するガンバ・ディフェンスの位置取りは流石だった。
 また、お目当ての遠藤のパスも、たしかに正確で、よく状況判断されたものだった。

 それでも、前半は、危ない場面も“思ったより少なく”経過・・・このまま無失点で前半を終了してくれれば・・・と思っていた矢先、ちょうど前半の残り時間が気になりだすころ、いつもながらのパターンでモンテが失点した。
 “いつもながらの失点パターン”とは、集中してディフェンスしているのだが、一瞬、試合の流れが遅くなったところで、リズムを崩してしまうこと。膠着していったん試合のペースが緩むと、足が緩んでしまい、ようするに相手の再度のギア・チェンジに対応できないのである。
 だから、相手にガンガン攻め続けられている時間帯ではなく、それが途切れたときが危ないのである。

 1点先取したガンバは、前半終了までの残り5分ほど、後衛でボールをまわして時間を稼いだ。
 このリードのままで前半を終了したいというのは理解できるが、モンテのような下位の相手でも、しかも前半終了前でもこうやって時間稼ぎをやるんだ・・・と、その意識の高さに感心した反面、もう休むのか・・・これは後半、モンテにもチャンスがあるかも・・・と、そんな気がしていた。

 後半、雨雲が水分を持ちきれず、ついに大粒の雨を落とし始めた。
 観客たちはすばやく雨具を身に付けたが、なかには雨具を持ってこなかった観客もいて、びしょ濡れのままで観戦している。リードされ、しかもボール支配は圧倒的にガンバなのだが、“河童取り”状態なのに、思ったより引き上げる客が少ない。山形の観客も、少しずつサッカー観戦者として育ってきた(?)ということか。
 この雨は、まさにモンテに味方した。
 長谷川のグラウンダーのシュートが、ゴールキーパーの手をはじき、ゴールネットを揺らす。
 数少ないチャンスをものにした長谷川は、たしかに逞しさを増している。
 同点に追いつかれたガンバは、あせって何度もモンテのゴールに襲い掛かるが、決定的なシュートをポールに当てて得点できなかった。
 中盤までガンバのパスはよく通ったし、何度もサイドを突破した。だが、最後の詰めのところで、モンテの最終ラインとキーパーの清水を崩しきることができなかった。
 モンテは最後までゴールを守りきった。これがモンテのしぶとさだと、よく示してくれた。

 註:「河童取り(かっぱどり)」とは、秋田県南部の方言で、川に入って河童取りをしたようにずぶ濡れになっている状態


 駐車場が混み合うので、試合終了後は40〜50分ほど、スタジアムの前の出店で飲み物を買い、うろうろしながら、人の動きを眺めている。スタジアムの正面玄関には、帰途につくモンテの選手たちにサインをねだるために人だかりができている。
 最初にブラジル人選手たちが出てきた。ジャジャ、アンドレ、そしてレオナルド。一緒に出てきたのは、奥さんと子どもだろうか。ジャジャは、小柄で若くて、まだ“あんちゃんこ”って感じ。
 モンテのDFの柱・レオナルドに、ファンが「はやく怪我を治して復帰しような」と声をかけている。その程度の日本語は理解できる様子。彼は、日本ではモンテ一筋にやってきたので、地元のファンから好感を持たれている。
 こうした状況は、どこかまったりしていて、いい感じである。

 さて、「サポーターにはならない」ということを信条にしてきたじぶんだが、このところ、観戦に赴く回数が頻繁になってきている。
 “J1モンテ”を愉しみながら、ぼんやりと、この山形という地域性とプロ・サッカーチームの関係を考えている。
 だいぶ前になるが、よく行く新宿のジュンク堂で、大澤真幸の『性愛と資本主義(増補版)』(青土社)に収録されている「サッカーと資本主義」という論文を立ち読みした。この本の初版は購入していたのだが、「サッカーと資本主義」という論文は、初版には収録されていなかったのである。

(ジュンク堂さん、すんません。いつもお世話になっています。高啓の詩集を置いていただいていて、深謝です。)
  
 いま、立ち読みの記憶を頼りに、じぶんの内部に取り込まれたこの論文のエッセンスを述べてみると、それは以下のようなものである。・・・・と、ここで、次回に続く。
                                                                                                                                                              

  

Posted by 高 啓(こうひらく) at 11:32Comments(0)スポーツ